山脇学園中学校・高等学校 YAMAWAKI GAKUEN JUNIOR & SENIOR HIGH SCHOOL

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高校一年 サイエンスクラス 夏季学校

サイエンス

 高校1年サイエンスクラスでは、7/23〜7/26の4日間で夏季学校を実施しました。

 校章のデザインでもある富士山周辺での夏季学校は同時期にスタンダードクラスでも実施していますが、サイエンスクラスでは宿泊日数が1日多くなり、実施内容が異なります。

スタンダードクラスの夏季学校についてはこちらからご覧ください。

高校一年 夏季学校 | 学園ブログ

 サイエンスクラスでは、富士山周辺の調査により、植物学的、地質学的な側面での科学的探究心を養うこと、また今までの授業で習得した知識を総動員して仮説を立て必要なデータを収集分析すること、を目的としました。

 さらに旅の中では生徒たちで協力し合って困難に立ち向かい、今まで以上に互いを深め合い、己を高めあうことができ、成長の場となりました。

 1日目は富士山5合目の御中道近くの調査地で、じっくり現地を観察し、ホテルに到着後、班ごとに仮説と検証方法を考え、2日目に実際に調査を行いました。

5月の校外学習に引き続き、富士山科学研究所の中野隆志先生にレクチャーやご助言をいただきながら調査しました。※5月の校外学習(高校1年 サイエンスクラス 校外学習)

観察した場所は同じ場所でも、それぞれの班で着眼点や設定する仮説は違う。発想の豊かさに驚かされます。

 2日目の調査では、途中雨が降り調査を中断する場面もありましたが、班ごとに役割や協力をしながら、限られた時間の中で一生懸命データ収集を行いました。これらの調査で得たデータは学校に持ち帰り、各授業の内容を横断しながら班ごとにポスターを作成します。

生物基礎では植生や生態系での学びを活かした考察を、情報基礎ではデータをpythonも用いて分析し、グラフを作成します。そして日本語で完成したポスターを科学英語の時間で伝えたいことを意識しながら英語にしていきます。完成した日本語のポスターは学校説明会などでご覧いただけます。探究活動などでこれからさらに発展していきますが、ぜひその成果をご覧ください。

 調査が終了した後は、名物の富士山カレーを頂き、富士山こどもの国でパオ(写真参照)に泊まりました。寝袋を持参し、慣れない環境や自然を感じながらの宿泊となりました。また、自分たちで薪に火をつけ夕食を作りました。雄大な自然を前に思い通りにならない場面もありましたが、みんなで協力して夕食を作り、全員で乗り越えることができました。

 3日目からは、富士山から伊豆半島に視点を移し、より幅広い範囲の学びとなりました。

 午前中は宝永火口に行きました。1日目と2日目は山梨県側で調査などしましたが、今回は静岡県側から富士山を眺めます。ほとんど同じ標高ですが、山梨と静岡で全く違う風景を見ることができ、植生の違いなどを感じました。

 その後、柿田川湧水でお昼ご飯を食べ、富士山からの湧水を実際に飲み、見学したあと、伊豆半島ジオパークミュージアムのジオリアと下白岩に行きました。ジオリアでは、伊豆半島がどのように形成されたのか、また川の流れをシミュレーションできる装置で川のはたらきを視覚的に見ました。また、下白岩では大型有孔虫化石の化石であるレピドシクリナを観察しました。ジオリアで得た知識をもとに実物を見て学びを深めました。

 ホテルは他のクラスと同じ場所で、一緒にキャンプファイヤーを行い、素敵な思い出を作る事ができました。

 4日目は伊豆半島からスタートし、韮山反射炉と会社見学として影山鉄工所、火雷神社と丹那断層公園、オラッチェに行きました。

 世界遺産の韮山反射炉では製鉄方法の進歩や、実物を見て、ガイドの方の説明を聞きながら、地元の方々が大切に守ってきた歴史に触れました。

 そして、古来の製鉄技術から現代へと視点を移し、影山鉄工所では、会社見学と工場見学を行いました。女子校で鉄工所の見学というのは珍しい試みでしたが、 溶接技術を使用した鉄製品の製作や加工だけでなく、製図や広報活動など、様々な人の得意が集まり、まとまってお仕事が成り立っているという場面を身近に感じる事ができました。オフィスでは会社の紹介や鉄に関する専門的な知識、また社会に出た際に必要な心構えなどを教えていただき、勉強だけでない大切なことを学びました。また、工場見学では実際の溶接作業の現場を見学し、製品の誤差をなくす職人の技を間近で見ることができました。この仕事はこの分野の学びだけが必要、と可能性や選択を狭めることなく、将来を考える上での一助になればと願っています。

 昼食を食べた後、1930年に発生した北伊豆地震によって生じた丹那断層を中心に、断層の跡が残る火雷神社と丹那断層公園を見学し、その後、酪農王国オラッチェで動物と触れ合ったり、ソフトクリームなどを食べたりしました。

 断層と酪農、一見関係がなさそうですが、もともとこの付近では豊富な水を使った稲作やワサビ栽培などが行なわれていましたが、丹那断層や丹那トンネルの開通工事により、湧水が流れ出し、有数の酪農地帯へと転換した歴史があります。地質学だけでなく、文化にも影響をもたらしており、自然からの側面だけでなく、文化的な側面からの広い学びができました。

 決して簡単な行程ではなく、楽しい思い出だけでなく頭も身体もたくさん使った夏季学校でした。その中でも生徒たちは自分自身で考え、行動し、多くの学びを得て、更に成長した機会となりました。

 この経験は探究活動だけでなく、今後どこかで必ず活きる場面があると願っています。今後の活躍も期待しています。