SI便り 夏期特別実験講座「盗聴者を発見せよ!~量子暗号体験~」
山脇の学び
2016年8月29日、電気通信大学にて夏期特別実験講座「盗聴者を発見せよ!~量子暗号体験~」を実施いたしました。
今年から始まった本講座は電気通信大学 准教授 清水 亮介 先生に御講義頂き、アシスタントとして卒業生でもある同大学大学院生と清水研究室所属の学生さんのご協力のもとに実施されました。参加者は13名で、キャンパス内の施設見学も行って頂きました。
まずは講義から始まりました。「暗号」の歴史から始まり、現在使用されているデジタル通信の仕組みや暗号化の仕組みを習いました。そこで問題になる「暗号文は解読できなくとも、暗号鍵を盗まれたら解読されてしまう。暗号鍵の安全な共有には何が必要なのか」について考えました。そして、今後の実用化が期待されている「光の偏光」を使った暗号化について講義を受けました。「偏光」とは何か、「偏光」を使ってどうやって暗号化し、通信していくのか、生徒たちは真剣に講義を受けていました。
その後、いよいよ暗号通信の実験に入りました。まずはアルファベットをデジタル化・暗号化して相手に送る練習をしました。最初は1文字から始め、簡単な単語が送れるようになるまで、練習です。これがなかなか難しく、「USA」と送ったはずが、何故か「UUA」と受け取られ、「どこでそうなった?!」と原因究明に勤しむことになったりもしました。そしていよいよ、「盗聴者」役が通信を邪魔します。すると、通信エラー率が急激に上がり、「盗聴者がいる」という事が一目瞭然になりました。清水先生の「盗聴者がいるとわかったルートを迂回して通信するんだよ」という一言で、通信経路が複数ある理由を生徒たちは納得したようです。
実験が終わった所で、卒業生から進路についての考え方や理系大学の過ごし方などを聞きました。少し年上の同窓の先輩からのアドバイスは、生徒達にとってはリアリティがあったようで、かなり真剣に聞きいっていました。その後研究室や通信施設の見学をさせて頂きました。見たこともない実験機器・実験内容などでしたが、真剣に話に聞き入り、目に見えない「光」に興味を持った生徒も多くいたようです。
この講座は9時~17時までと長時間に及びましたが、台風の合間の晴れの一日、生徒たちは皆興味津々といった表情で充実した一日を過ごすことができました