SI便り 「マングローブ「研究の最前線」
サイエンス
2月15日(月)、中学3年生の「科学研究チャレンジプログラム」でお世話になっている、琉球大学の渡辺信先生のご紹介で、東京都立科学技術高校3年の阿部隼人さんに講演をしていただきました。

阿部さんは、都立科学技術高校で、マングローブ林の土壌の研究を続け、論文にまとめ「高校生科学技術チャレンジ(JSEC)」の大会に参加。研究レポートによる一次審査を通過し、ポスター発表での最終審査まで突破し優等賞を獲得しました。その後、マングローブ研究を続けるため、推薦入試で琉球大学 農学部 亜熱帯農林環境科学科への進学が決まっています。今回は、この一連のお話をしていただきました。
科学研究チャレンジプログラム参加の中学3年生、次年度、科学研究チャレンジプログラム参加予定の中学2年生、SIクラブから希望の生徒が参加しました。
高校1年生の時に西表島に行って、マングローブ域でのフィールドワークを行い生物多様性の面白さを実感したことをパワーポイントと共に、西表島の生物の写真カードを使うなどして伝えてくださいました。
西表島では、海側の干潟とマングローブ林内の土壌を触って比較したところ、それぞれに性質ちがうことに気づき、マングローブ域の土壌に興味を持ったことがきっかけで、研究を始めたそうです。
3年間の研究の集大成として論文を書きJSECに参加しました。優秀賞を受賞したときのプレゼンテーションも聞かせてくださいました。
阿部さんのお話の内容は、大変難しいものですが、中学生にも分かるよう、言葉を選んで伝えて下さったので、その熱意が伝わり、聴いている中学生たちも、みな話に引き込まれていました。質疑応答では、マングローブについての質問から、発表についての心構えまで、いろいろな質問にも答えいただき、とても有意義な時間になりました。
また、渡辺信先生は、美しい西表の夜空の写真から始まり西表の自然のお話をしてくださいました。西表に行った中学3年生は懐かしくもあり興味深くとても楽しんで、これから西表に行く中学2年生はとても熱心に、目を輝かせて聞いていました。
今回のように「マングローブ林」という同じ研究材料をつかった者同士、あるいは学校同士が連携していくことが、一人では知りえない世界を広げてゆく機会になることを実感した1日となりました。
本講演会は、JST科学技術振興機構の「中高生の科学研究実践活動推進プログラム」に採択されたマングローブチームの取り組みの一環として企画されましたが、森林学会でのポスター発表に向けて準備しているマングローブチームにとっても、よき学びの場となったことは言うまでもありません。
*高校生科学技術チャレンジ(Japan Science & Engineering Challenge、通称JSEC=ジェイセック)は、2003年に朝日新聞社主催で開始した科学技術の自由研究コンテストです。 JSECで入賞し、代表に選考されると、翌年5月に米国で開催されるIntel ISEFに出場するため派遣されます。