1月18日(木)山脇学園SSH事業 「総合知 授業」
サイエンス(SSH)
1月18日(土)に「総合知の授業」が東京農業大学生物産業学部海洋水産学科 小
林万里教授をお呼びして開催しました。東京農業大学生物産業学部は世界で最も南で
流氷が接岸するオホーツク海に面した北海道網走市にキャンパスがあり、特に海生哺
乳類と直に接して研究ができる恵まれた環境にあります。
海生哺乳類はクジラ類(クジラ、イルカなど)、海牛類(ジュゴンなど)、鰭脚類(
オットセイ、アザラシ、トドなど)、裂脚類(ラッコなど)がいますが、進化の過程
で一度陸上に上がってから生活場所を海に戻していった共通点があります。水中では
浮力で体を支えることができるためクジラのように体のサイズを大きくすることがで
き、シロナガスクジラは現存する最大の動物種であるだけでなく、かつて地球上に存
在した確認されている限りの恐竜や動物を含めても、あらゆる既知の動物の中で最大
の種であり、記録では体長34メートルのものまで確認されています。
最近ヒトの生活圏に野生動物が現れトラブルになるニュースをよく聞きます。ヒト
の生活を守るのか、野生生物の保護を目指すのか二者択一の意見がたたかわされてい
ます。しかし小林教授の研究ではこのような問題はヒトと動物の1対1で考えるので
はなく、生態系全体で考えることが大切だそうです。例えば研究されているアザラシ
は漁業で使う網を破ったりして漁業被害を与えますが、アザラシが生活することで海
水の窒素量を増やし昆布などの海草が育つ経済的な効果もあり、さらに海の生態系の
安定にも寄与しています。全部殺してしまうのでもなく、その動物だけを手厚く保護
するのでもなく、生態系のバランスを考えながら個体数を管理することが必要だと教
わりました。北海道には日本でここだけにしか生息していない野生動物が多くいます
。ぜひ北海道に来て研究をしませんかと誘っていただきました。



