2022年度 山脇学園高等学校卒業式 ~その2~
学園便り
在校生総代からの「送辞」と、卒業生総代の「答辞」をご紹介します。
送辞
早春を迎え、武家屋敷門の桜の便りもそろそろかと感じる季節となりました。この佳き日に山脇学園を卒業されるみなさま、おめでとうございます。在校生を代表し、心よりお祝い申し上げます。
先輩方が入学してからはや六年近くが経ち、学園生活のさまざまな出来事を思い起こしながら、今ここにいらっしゃると思います。
石走る垂水の上のさわらびの萌え出づるはるになりにけるかも
万葉集にある志貴皇子の歌です。内容は「激しく岩の上にぶつかり落ちる滝の辺のわらびが、新芽を吹いて出てくる春になったことだよ」と、春になった喜びを躍動的に表しています。雪が溶けて、わらびの芽もようやく土から顔を出し、太陽の光と滝の水しぶきを浴びて輝いています。まるで、受験という厳しい時間を経て、今、春の光の下で新たな活躍の場に踏み出そうとしているみなさまのようです。
そのような先輩方にいつも憧れを抱きながら、私たちは学園生活を送ってきました。私たちは十二歳の春、先輩方の姿に憧れて山脇学園に入学しました。夏、部活動などに参加し、一日も早くその背中に近づきたいという思いで努力を重ねてきました。私たちが高校一年生の秋、先輩方が体育祭や山脇祭を通じ、さまざまな意見をぶつけ合いながらも、最後には団結して新たな行事をつくりあげていく姿を見て、多くのことを学びました。また、高校三年生になったみなさまが自習室などで受験勉強に励む姿は、とても凛々しくその後を歩む者として襟を正す思いでした。そしてこの冬、誰もいなくなった一号館の二階はとても寂しく感じました。
先輩方は、新型コロナウィルス感染拡大の影響で、行事の企画や運営が思い通りにできなかったことも多かったと思います。しかしそのような困難な状況でも、今までとは違うやり方で、行事などを充実させることができることを示してくれました。山脇祭も、その前年は動画視聴という形でしたが、対面でクラス単位での活動ができるようにしてくださいました。また、物品販売の企画を通じて、私たちでも世界で起きている問題の解決に向けて働きかけることができることを教えられました。今年度の山脇祭では私たちが、後輩の学園生活の思い出のページを創り上げる立場となり、改めてみなさまの成し遂げたことの大きさと重さを感じさせられました。体育祭でも三年ぶりに、六学年合同での開催を実現してくださいました。「ペルシャの市場にて」を踊っている先輩方の姿はとても優雅で、私たちもこの伝統を引き継ぎたいという思いが強くなりました。
今、みなさまはこの山脇学園から旅立とうとしています。体育祭のダンスで描いた「翔」の字のように、飛翔して社会人への第一歩を踏み出していくことと存じます。
改めて本日はご卒業おめでとうございます。私たちは、これからも先輩方への敬意と誇りを胸に、学園生活を送っていきます。
みなさまの今後のご健康とご活躍とを心からお祈りし、送辞とさせていただきます。
令和五年 三月七日
山脇学園中学校高等学校 在校生総代
答辞
ここ港区赤坂でも心華やぐ春の日差しを感じる頃となった今日、私たちは卒業の日を迎えました。この佳き日に、私たち卒業生のために厳かな式典を催しくださり、誠にありがとうございます。ご来賓の方々、先生方、保護者の皆様、職員の皆様ならびに同窓会の皆様方にご多忙の中ご臨席を賜りましたことに、卒業生一同心より感謝申し上げます。
桜の花びらが舞う二〇一七年四月八日、私たちの身体には大きすぎる制服を着て、武家屋敷門を通ったあの日からあっという間に六年間が過ぎました。学年ランチがある度に、四限が終わってみんなで一勢に廊下・階段を駆け下りていた頃が遠く昔に思えます。中学時代では体育祭、合唱祭、山脇祭、夏季学校などの学校行事を通じて、私たち生徒は先代の山脇生同様に伝統のもとで意義深い思い出を作ってきました。しかし、二〇二〇年三月からは新型コロナウィルスの感染拡大によって一変した新しい日常での高校三年間を送ることになりました。
私達はリモート授業や学校行事の規模縮小などに加え、中止、延期と隣り合わせの高校生活を送ってきたためか、大人たちからは度々「かわいそう」と言われます。しかし、本日卒業の節目に立ち、明るい思い出でいっぱいであることに気づきました。高校一年生になってすぐ、リモート授業期間が続き「学校に行きたい」とみんなが口をそろえました。その際、自分をよく理解してくれる友達や先生と毎日会えること、辛いときに隣で一緒に頑張ってくれる誰かがいることは当たり前ではないと学びました。そして卒業アルバムのページをめくるたび、社会情勢の向かい風に屈せず、こんなにも楽しい思い出を私達が協力して笑顔で作れたということが見られて、とても心が温まりました。特に高校二年生の学年末に延期の末やっとみんなで行けた修学旅行は特別な思い出でした。中学の修学旅行に行けなかった人も多い中、コロナ禍や受験のストレスを忘れられる楽しい二泊三日をありがとうございました。また、山脇祭や体育祭など学校行事に加えて、日常生活でも一人ひとりがこの状況の中でどうやったら楽しく過ごせるかを考えて実現したことを誇らしく思うと先生方はおっしゃっていました。この先社会でどんなに大変なことがあっても、私たちはここでの成長を胸に、強く乗り越えていきます。なぜならヒラリークリントン氏が演説で「women are agents of changes, drivers of progress, and markers of peace」と言ったように私たちには社会を変える力が大いにあるからです。今年度の体育祭のペルシャの市場で高く上がり羽を広げて飛ぶという意味の「翔」という文字を描きました。これからも果てしない可能性に向かって私たちは昇り詰めていきます。
そして、私達の成長をいつも後ろから強く温かく支えてくださった、山脇の先生方に卒業生一同より心から感謝を申し上げます。日々お忙しくされているにも関わらず、先生方は私たち一人ひとりを常に気にかけ、どのような相談にも乗ってくださいました。いつも私たちのことを最優先に考えて、家族のように成長を喜んでくださり本当にありがとうございました。この中高六年間に山脇で出会った沢山の尊敬する先生方のおかげで今の私達があります。
またご臨席いただいた保護者の皆様、私たちが本日高校を卒業できるまで育てていただいたことに感謝を申し上げます。中高六年間そばで優しく見守り、私たちを支えてくださり本当にありがとうございました。
そして最後に、私達卒業生は在校生の皆様の将来の成功を心から願います。頑張っているときに失敗して、自分に自信がなくなることは誰にでも起きると思います。しかし、謙虚に失敗経験から学び、新たな挑戦をし続ければ必ずうまくいくときが来ます。そしてその過程で、絶対にご自身の可能性を過小評価しないでください。素晴らしい将来に向かって日々山脇で努力されている皆様を私達は心から応援しております。
これから私達はそれぞれの道を歩んでいきますが、山脇学園で出会った方々そして学んだこと全てに改めて感謝を申し上げます。今後の皆様のご健康と山脇学園の益々の輝かしい発展を心より祈念して答辞とさせていただきます。
令和五年三月七日
山脇学園高等学校 第七十五回卒業生総代
山脇学園の高校卒業式で長く歌い継がれてきた「感謝の歌」も3年ぶりに合唱しました。マスク越しでも澄んだ歌声が響き、そこには6年間の想いが込められているようで、聴く者の胸を打ちました。
式の最後は、卒業生を拍手で送り出しました。
心温まる素敵な卒業式でした。
その3では、卒業式後のHRの様子を紹介予定です。