令和4年度山脇学園中学校入学式を行いました Vol.1
学園便り
4月9日(金)、中学校入学式を行いました。
春らしい暖かな陽気に包まれ、入学式日和となりました。澄み渡った上空の青空と、色付いた校庭の桜がとても美しく、新入生を歓迎しているようでした。
〈入学式前〉
〈新入生入場〉
〈入学許可〉
〈学校長式辞〉
校庭の桜が春の光に輝き、みなさんの入学を待っていたかのようです。
ただいま入学を許可いたしました305名の新入生のみなさん、ご入学おめでとうございます。
今日、晴れて山脇学園の生徒となられた皆さんを、本学園教職員一同、心から歓迎いたします。
また保護者の皆様におかれましても、これまで慈しみ育てられたお嬢様のご入学をどれほどお喜びのことかと存じます。心よりお祝い申し上げます。
皆さん一人ひとりのお顔を拝見し、お会いできたことをとても嬉しく思います。
真新しい制服は皆さんにとても似合っていて、中学生になったのだ、という清々しさが伝わってくるようです。
中学受験に際しては、遊びたい気持ちを抑え、勉強に取り組んでいらしたことでしょう。時にはつらい、苦しいと思うこともあったでしょうし、思うように成果が上がらないときはもうやめてしまいたいと思ったこともあったかもしれません。厳しい入学試験を突破し、今日、この日を迎える皆さんを、改めて心から称えたいと思います。
ここまでの道のりは決して一人で歩いてきたわけではなく、一番近くにはご家族、そして周りには先生方や友達の存在がいつもあったことでしょう。みなさんの受験勉強は、感染症の脅威に不安を抱きながらの日々だったと思います。周りの方は、皆さんを守ろうと心を砕いてくださったはずです。この喜びの日に、支えてくださった方々に、あらためて思いを寄せてください。
さて、山脇学園での生活をスタートされるにあたり、本校のことについて少しお話をしたいと思います。山脇学園は明治36(1903)年に創立され、今年度は創立119年にあたる、伝統ある女子校です。創立者であり、初代校長は山脇房子先生です。明治という時代にあって、女性の知性と教養を磨く大切さを説き、社会で活躍できる女性の育成を志し、この山脇学園を創設しました。
今皆さんが着ていらっしゃるワンピースの制服をデザインし、日本で最初の洋装の制服として取り入れたのも房子先生でした。今もほぼデザインを変えずに、山脇生が誇りをもって着用しています。
校章も房子先生の先進性と理想の女性像を伝えるデザインです。
「ハートに富士、いつもまるい心に凛とした富士の姿」
山脇生は、この校章に恥じないよう、「志」をもって世のため人のために貢献しましょう、というメッセージは校歌にも歌われています。
房子先生の著書「尊き花 尊き実」には、房子先生の願いやお考えが細やかに記されているのですが、今日、是非皆さんにお伝えしたい部分があります。
それはこの著書の一番初めの章に記されている部分です。そのままご紹介しましょう。
「富士の姿を心として」
人は誰でもいろいろの望みを持っております。偉い人になろう、優れた人になりたいと思っています。日本一の学者になりたい人もありましょうし、また日本一のお金持ちになりたいひともありましょう。日本一の美しい人になりたいという人もあるでしょう。そしてそれはまことに結構なことであります。
が、果たしてその望みが通るでしょうか。それはほんとに難しいことで、誰もがどんなに努めても到底達しえない望みではないでしょうか。
けれどただ一つ、誰にでも努力次第でできることがあります。それは徳の高い人になることであります。徳を磨き、徳を積んで、徳の高い人になることは、自分の心がけ一つでできるのであります。」
「徳の高い人」といって、皆さんはどんな人を思い浮かべるでしょうか。これから様々な場面でこの「徳」とはなにか、について考えていきたいと思います。そして「知性と教養を身につけ、人として徳と豊かさを備えた女性の育成」という建学の精神は、時代が変わっても全く色あせることのない、誇るべき理念であり、伝統ある私学として年月を越えて継承していくことが大切であると考えています。
一方で、いまみなさんが生きているこの時代は、IT技術の進化による情報化、国際化、またコロナの影響も加わり、将来が予測困難な不確実性をはらんだ社会です。そしてこれから皆さんが生きていく時代は、この変化がさらに複雑化し加速すると言われています。
この2年間の感染症の拡大や、ここ数か月の世界情勢の変化をみても、少し前までは予測もできなかったようなことが次々と起こり、私たちの暮らしに大きな影響を及ぼし、これまでのあたりまえのやり方や考え方に変革が求められることを実感しました。これから求められるのは、変化を進化に変える力であり、情報や感情に流されず、物事をよく観察したり分析したりする姿勢、自分の頭で考え本質を見抜く力、状況に応じた最適な方法でスピーディに行う実行力などであると思います。
学校の役割は、生徒たちに、未来社会に活躍するのに必要な知識やスキルを身につけること。そしてどのような時代であっても、自分で考え、強くしなやかに生きられる「人を育てる」ということです。特に中学高校の6年間は、生涯でもっとも心身の成長著しい時期です。この時期にどれだけ自分という樹木の根を張り、強い幹を育てるかは、その後の人生での枝の伸ばし方、花や実のつけ方に大きな影響を与えます。
その大切な時期を山脇学園で充実した日々にしていただくために、みなさんに心掛けて頂きたい3つの心をお伝えしたいと思います。
一つ目は「自学自習の心」です。これまでは、学校や塾で課題を示され、それをきちんとこなすことに努力してきたことが多かったのではないでしょうか。これからは自分で目標を立て、自分で日々の学習を組み立てることを意識していただきたいのです。できることはもっと先へ、苦手なことは工夫して克服、など、目標に対して自分の課題を持ち、自分に合った学び方を考えてデザインしていく、という学びの姿勢です。それがつかめてくると、学ぶことはぐっと楽しくなり、何のために勉強するのか、という問いの答えも見つかると思います。もちろん、自分の学習の見つけ方は先生方から最初に教えますし、しっかり支援もします。安心してください。
昨年度より全員にiPadを導入しました。できることが増え、学びの世界が大きく広がりました。またAI教材も自学自習に有効に利用しています。すべての教科で展開される様々な授業を、楽しみにしていてください。
二つ目は「自らチャレンジする心」です。日常の毎日に、様々なチャレンジや自分を試すアクションを意識的に加えることです。山脇では、興味のあることにワクワク取り組める学びの場や行事がたくさんあります。グローバルプログラムやサイエンスプログラムなどの選択カリキュラムや校外学習、研修なども数多く用意しています。
新たなことに積極的に取り組む経験は、様々な人と出会い、視野を広げ、今まで知らなかった世界や自分自身を知ることにつながります。広い空を知ってこそ、どちらに枝を伸ばそうか、決めることができるのです。失敗もしてよいのです。中高時代のチャレンジと失敗の数は、あなたの枝を強くし、志をつくり、少々の雨風では折れない幹を育てます。
三つ目は「礼節の心」です。礼節とは、心の伴った礼儀のことです。学校は、みなさんが日々馴染み心を許す友達や先生と学び、生活を共にする場ですが、公共の場でもあり、小さな社会ということもできます。そのようななかで様々な人と関わり合って、互いに気持ちのよいつながりを築く基盤として、この礼節の心をあげたいと思います。
本校は、全校で1600名以上の生徒と、120名以上の教員がおり、出会いの多い学校です。今日出会った新しい担任の先生、学年の先生方のほかに、様々な教科の先生方との出会いもあります。
また上級生たちとも、行事や部活動を通して触れ合う中で、多くのことを学ぶことでしょう。
そして今、みなさんの周りにいるのは、これからともに過ごし、学び合い、影響を与え合う友達です。この間卒業していった高校3年生にアンケートを行ったところ、97%が「山脇でよかった」と答えてくれました。なかでも多かったのが、山脇で一生の友だちができた、という声でした。嬉しいことでした。みなさんもきっとそうあることでしょう。
全ての出会いに、相手に敬意を持ち、相手を大切に思い、尊重する礼節の心をもってください。その心が、必ずみなさんの学園生活を深く豊かにしていきます。
「自学自習する心」「自らチャレンジする心」「礼節の心」この3つを携えて、今日からの学園生活を、みなさんのかけがえのないものにしていきましょう。
最後になりましたが、保護者の皆様に申し上げます。
今日はこのようなかたちでのご臨席を賜り、ご理解とご協力に感謝申し上げます。本日お嬢様は、緊張感の中にも、とても立派なお姿でここにいらっしゃいます。
この度、大切なお嬢様をお預かりすることになり、改めまして身の引き締まる思いがいたします。教職員一同、心を合わせ、お嬢様の教育に全力を傾けてまいります。保護者の皆様と手を携え、お嬢様の成長を支援することこそが、お嬢様に最も豊かな学びをもたらすことができるすべである、と考えております。どうぞ本校の教育に篤いご理解とご支援を賜りますよう、よろしくお願いいたします。
新入生の皆さんが平和な世界、穏やかな時代で、心身ともに健やかに、有意義な学園生活を送られることを心より願い、本日の祝辞といたします。
令和4年4月8日 山脇学園中学校高等学校校長 西川史子
〈担任団紹介〉
Vol.2では、在校生による「歓迎の言葉」、「新入生の誓い」と入学式後の様子を紹介します。