山脇学園中学校・高等学校 YAMAWAKI GAKUEN JUNIOR & SENIOR HIGH SCHOOL

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中学3年 科学研究チャレンジプログラム「西表野生生物調査隊」No.3

サイエンス

これまでの記事はこちら

中学3年 科学研究チャレンジプログラム「西表野生生物調査隊」No.1
https://www.yamawaki.ed.jp/2019j3ekachale/

中学3年 科学研究チャレンジプログラム「西表野生生物調査隊」No.2
https://www.yamawaki.ed.jp/2019j3kachalehunaura/

 

【白浜班1日目】

宿である「海人の家」に到着したらまずは避難経路の確認です。民家の脇を抜けて旧国道の山道を通って高台へ。黄昏時の島はとても幻想的でした。

翌日からの調査に備えて美味しく食事を頂き、交流会に向けて歌の練習をしました。久しぶりにみんなで歌ったのですが、なかなか調子が上がりませんでした。まだまだこれからです。

 

【白浜班2日目】

本日は仲良川河口域の探索です。中2の夏期学校では、青木湖で一人乗りカヌーでしたが、今年は二人で力を合わせて海に漕ぎ出します。あいにくの雨と風も何のその、白浜港から仲良川の汽水域を目指しました。

半数は船で先回り。支流の二番川の調査を行います。

仲良川の河口付近は海水と川の水が混じる汽水域で、広い河口に差し掛かると両岸にヤエヤマヒルギが、奥に行くに従いメヒルギ、オヒルギの姿が見られます。西表島では実に7種のマングローブが観られます。

それぞれの説明を伺い、西表島の豊かな生態系を観察します。

食事はカヌーグループと船で先回りしたグループとが合流して船上ランチ。スコールのような雨が途切れた時を見計らっての食事でしたが、カヌーで消費したエネルギーをしっかり補充しました。

食事の後は船とカヌーを乗り換えてさらに調査します。

干潟に上陸してじっくり観察するとハゼやカニ、ヤドカリ、ヒトデ、ナマコと、驚くほどたくさんの生物が生息していました。また、生物を捕まえる技術もめきめきと上達。最初は小さなハゼしか捕まえられなかったのですが、最後には手のひらサイズのハゼを捕まえ、正面からの写真撮影に成功しました。

残念ながら雨がひどくなったため、夜間調査は中止となり、4日目の交流会に向けての歌練習や生物報告会の準備を行いました。

 

【白浜班3日目】

朝一番に庭に出てみると、カンムリワシが電信柱にとまっていました。カンムリワシは国の特別天然記念物であり、また絶滅危惧種でもあります。そうっと近づいて写真撮影、なかなかのショットが撮れました。

カンムリワシ

今日は星砂海岸での調査活動です。この海岸でのホシズナがどこから流されてきたのかその由来を突き止めるために、先輩たちも毎年ホシズナの採取を行って来ました。今年は満潮に近く波が高かったため、自分の調査地点に行くのに一苦労。行きついてみれば岩場で更に移動・・・。苦労しましたが、採取したホシズナを見ればみな満面の笑みになっていました。ここで採取したホシズナは、後日みなで分析します。

ホシズナ採取

その後、星砂海岸西側の地層の観察を行いました。砂岩と泥岩の地層の上にサンゴ由来の琉球石灰岩が観られます。4年前にここに来た先輩は、この地層を観て地質に興味を抱き、研究者をめざして現在理学部地球科学科1年生として大学で学んでいます。

ランチタイムまでは浜辺の生き物調査です。箱メガネでのぞかなくても透明度の高い海の中の生物達が良く見えます。いつの間にか箱メガネがヤドカリやカニの採取箱になっていました。潮が引くと、潮だまりに取り残された魚も観察できました。ヤドカリをじっくり観察していたら・・・なんとヤドカリが危険と感じたのか貝を捨てて逃げ出しました。他にも貝を取り替えようと、ヤドカリがじっくりと貝殻を調べている様子も観察できました。もう少し長い時間観察出来ていたら、ヤドカリの引っ越しが見られたのかもしれません。

冷製パスタとバナナを頂いた後は、浦内川へ移動してジャングル調査です。晴れてくれたおかげで昆虫が沢山出てきました。背の高い木生シダや様々な植物、ハゼやマングローブ・・・数えきれない位多くの生物に出会うことが出来ました。

ギランイヌビワ

最後に炭鉱跡の「萬骨碑」まで行きました。西表島では、明治から戦後にかけて石炭の採掘が行われており、多くの人々がここで働いていたのです。マラリアに倒れた人々も多かったそうです。西表の歴史に触れ、生徒達も思う所があったようです。植物に飲み込まれかけた構造物はとても物悲しいものがありました。

ジャングルで見つけた「オオクニワタリ」。ウィルダネスのスタッフのみなさんから「新芽は食べられる」と聞いた生徒達が「どうしても食べたい!」とお願いしたところ、全員分は無理でしたが夕飯に出して頂きました。あく抜きをしておひたしにしたオオクニワタリを11人で一口ずつお味見!「ほうれん草みたいでおいしかった」というのが生徒の感想でした。

夕方には東海大学沖縄地域研究センターの河野裕美先生と大学院や学部の学生さんがいらしてくださり、講義や研究発表を伺いました。ウミガメの保護が進んだことでウミガメが小型魚類や付着生物の生息場として重要なウミショウブを食べてしまい、ウミショウブ群落の衰退消失につながっていると聴き、1種類の生物を過剰に保護することによる弊害の大きさに驚きました。

また、学生さんが何故そのテーマを選んだのか、その研究をどう生かしていきたいのかなど研究に向かう姿勢なども教えて頂きました。研究の背景をしっかり調べること、暮らしの中の「たぶん~だろう」が研究テーマになることなど基本中の基本であるテーマの決め方なども教えて頂きました。プレゼンでは「統計の必要性」や「表やグラフの見せ方」なども教えて頂き、「理科だけが好き」でもダメなことを痛感したようです。

河野先生をお迎えして

ウミガメに食べられたウミショウブ

さらに夕食会では研究内容の話や、生徒達が見つけた生物についての質問などにも答えて頂き、有意義な時間を過ごすことが出来ました。

【白浜班4日目(合流前)】

本日は船浦班が琉球大学より合流した後、調査報告会と地元の青年会&子供会との交流会があります。白浜班はまずは交流会に向けて食材の確保、「釣り」です。5種類6匹釣れたのはなかなかの成果だと思うのですが・・・如何でしょう?

つづきは船浦班と合流・・・