山脇学園中学校・高等学校 YAMAWAKI GAKUEN JUNIOR & SENIOR HIGH SCHOOL

山脇の“いま”を伝える学園ブログ

POLARIS

中学3年 科学研究チャレンジプログラム「西表野生生物調査隊」 Vol.1

サイエンス

中学3年 科学研究チャレンジの生徒40名は、西表野生生物調査隊として5月6日から11日の5泊6日、西表島に行って来ました。

 

西表島は台湾の近くに位置し、亜熱帯のジャングルに覆われた島です。周囲に国道が1本あるだけで、たくさんの川に恵まれた自然豊かな島です。世界自然遺産を目指していましたが「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」の登録延期のニュースは皆さんご存知のとおりですね。

ヤエヤマセマルハコガメ

サキシマキノボリトカゲ

さて、西表島ではどのような活動を行ってきたのでしょうか。

石垣港フェリー乗り場の天井

石垣港

西表島の最初の3日間は、白浜公民館の海人の家を拠点にした白浜班と琉球大学熱帯生物圏研究センターを拠点にした船浦班に分かれて調査活動を行います。
まずは、船浦班の活動を4日目の合流までご紹介します。

【船浦班1日目】
到着後、3日間お世話になる琉球大学熱帯生物圏研究センター渡辺信先生にご挨拶をし、宿泊棟の使い方を教わりました。
荷ほどきもそこそこに、夕飯のお弁当を持って、さっそくHappy Timeの始まりです。
まずは、広大なパイナップル畑の観察です。

パイナップルのできかた

パイナップルの花

パイナップルの果実

次は、トドゥマリ浜にて浜の砂の質を観察です。ここの砂は鳴き砂で、光が当たると石英がキラキラしていました。
その後、住吉地区の断崖絶壁ウナリ崎に行き、芝生で夕飯をいただきました。

トゥドゥマリ浜の砂は・・・

ウナリ崎で夕飯

トゥドゥマリ浜の夕焼け

最後は星砂海岸へ行きました。ホシズナの観察の後、南北に1m間隔で12名が並び、ホシズナの採取を行いました。潮が引いている時間だったので、いろいろな生物の観察もできました。

西側の崖では、泥岩・砂岩の地層の上にサンゴ由来の琉球石灰岩が観られ、そこからかつてこの場所では海岸線が上にあったと推測されました。その後大きな堆積岩に寝そべり、星空の観測をしました。一番星の金星をはじめ東京では見ることのできないほどの星空を観測することができました。

宿舎への帰り道、道路でヤシガニを見つけました。まだ小さいですが、力がとても強く驚きました。1日目から絶滅危惧種に出会えてうれしかったです。

ホシズナ海岸の砂は・・・

地層の観察

ホシズナの採取

道路にヤシガニ

宿舎に帰り、1日の振り返りをして、長い1日目が終わりました。

【船浦班2日目】
今日は、西田川のカヤックとジャングルのトレッキングです。
朝食後、昨日の夕飯のお弁当の分別をしました。西表島ではゴミの分別がとても厳しく細かいです。生ゴミはすべて各家庭でコンポストを使って堆肥にしています。
カヤックの準備をして、いよいよ船浦湾から西田川へ入ります。風が強く、西田川に入るまでは流されましたが、河口を過ぎると急に風がなくなりました。

お弁当パック分別

カヤックおろし

途中、川につかりながら、サキシマスオウノキの立派な板根を観察したり、メヒルギの育つ土の柔らかさを確認しました。
マングローブ林に頭をぶつけた拍子に、寝ぼけた?リュウキュウコノハズクが落ちてきて生徒の頭にしがみつきながらも川に落下。この生徒はすかさずシャッターを切り、見事な写真が撮れました。

メヒルギの生える泥の柔らかさ確認

コノハズクが!!

西田川のサキシマスオウノキ

メヒルギの木にカヤックを括り付けてジャングルに入ります。戻るときには水位はどのくらいかわっているのでしょうか?
西表島のジャングルは亜熱帯林で主に200種類のシダ植物とツル植物で構成されています。ジャングルではサキシマキノボリトカゲ・サキシマスべザトウムシ・ヤエヤマオオタニワタリなどたくさんの動植物を観ました。

到着した水位

キノボリトカゲ

オオタニワタリ

ジャングル調査

サンガラの滝付近にはたくさんのポットホールがあります。ポットホールは小さな窪みに石ころが入り、長い年月をかけて水流で堆積岩が削られた穴です。大小さまざまなポットホールには様々な生物が棲んでおり、みなで観察しました。

サンガラの前で

滝の奥で調査テナガエビを捕まえた

テナガエビを捕まえた

帰りの水位

帰りは水位が下がっていました。
メヒルギ・オヒルギの散布体を採取し、潮が引きはじめていましたので、カヤックが通れる水位のうちにあわてて帰りましたが、干潟になっている場所もあり、カヤックを引っ張って歩きました。

夜はヒナイ川の船着き場にホタルを観に行きました。日没から20分くらいで小さく点滅するヤエヤマヒメホタル、その後に少し長く光るイリオモテホタルを観察しました。川にはテナガエビ、うなぎもいました。

夜間調査

船浦港で星空観察

船浦港では海水の動きに淡く光る夜光虫を見て、寝そべって星空観測をしました。流れ星を探したり、とても盛り上がりました。

【船浦班3日目】
残念ながら、今日は朝から雷雨です。
まずは渡辺信先生のセミナーがありました。
様々な気象情報と研究棟の屋上で測定された気象データを見ながら分析。時間ごとの雷雨の情報も見ながら、今後多少雨は降るけれどニッパヤシの探検には行けると皆で納得しました。
そして、「私をアピール!」の時間になりました。2日間でだいぶ打ち解けて、自分のオンリーワンのところ、興味のあることなど、みんなの心に響く自己紹介をすることができました。

合唱の練習

データから納得する

自分のオンリーワン語り

10時40分 出発の時間です。潮が深い時間なので入る前からリュックはカバーをして出発です。いきなりカンムリワシが雨に濡れた羽を乾かしているところに出会いました。
まずはマングローブのレクチャーです。ヒルギダマシ・ヤエヤマヒルギ・オヒルギ・シマシラキ・ミズガンピ、たくさん種類があります。それぞれの根・葉・花などの特徴や違いを実物を見ながら説明していただきました。

羽を乾かすカンムリワシ

オヒルギの膝根に要注意不思議なマングローブの根

不思議なマングローブの根

オヒルギの花

オヒルギのマングローブ林に入ると、たくさんの大きな巻貝キバウミニナで道が埋め尽くされていました。踏まないようにしようにもなかなか難しい道を泥に足をとられながら進みました。

キバウミニナ

マングローブ林内

天然記念物ニッパヤシは、土からいきなり葉が生える不思議な植物で、絶滅危惧種です。
周りには、アナジャコの塚がたくさんありました。

ニッパヤシ

ニッパヤシから帰る途中、どしゃ降りになりました。腰までつかりながら、川を渡り、船浦湾に出ました。途中、外国からの漂流物がたくさん流れ着いており、西表島の大きな問題になっています。これらは遺失物扱いとなり、処理をするのが難しいそうです。

どしゃ降りの中川歩き

外国からの漂流物

宿舎に帰り、温まった後、ピーチパインを食べてみんな元気になりました。
今年は、一昨年の科学研究チャレンジプログラムのロボットチームが作成した「西表島での生態系を調査するロボット」を持参し、生物調査と温度、湿度などの情報を記録しました。今回の結果を受け問題点を解決し改良を重ねることにしています。

エネルギーチャージはピーチパイン

カタツムリに興味津々

先輩のロボットで撮影中

夕方、晴れていたので大見謝へ行き、ゲットウ水鉄砲や、指ハブ、現地ならではの自然との遊び方を渡辺信先生のお嬢さんに教わり、みんな興味津々でした。

大見謝

指ハブ

ナンバンギセル

干潮の時間になり船浦湾の干潟で、ミナミコメツキガニなど干潟の生きものを観察しました。

ミナミコメツキガニのもぐり方

ミナミコメツキガニ

報告会の準備

夕食後、明日の報告会の準備をしました。出会ったたくさんの生きものから一つに絞り込むのも悩み、伝えたいことがたくさんあって、時間内に収めるのに苦労しました。

【4日目 白浜班と合流まで】
3日間お世話になった、宿舎をきれいに掃除して白浜へ移動します。
来た時よりもきれいにを合言葉に掃除をしました。

 

その後は、渡辺信先生との最後のセミナーです。研究とは何か?どのように行えばよいのか等、小学生の研究発表を見ながら、大切な要素についてお話くだり、その後、西表で体験した様々な事象を振り返りながら科学的な裏付けをしてくださいました。地層からは西表島の成り立ちについて、潮汐、西表島の産業、漂着ゴミなどの島の抱える問題、観光客、世界遺産についてなど、多岐にわたってお話くださいました。みな興味深く、メモを取りながら聞き入りました。そしていよいよ合流です。

3日間のまとめ