中3 科学研究チャレンジプログラム 「西表野生生物調査隊」報告③
サイエンス
ー西表野生生物調査 船浦グル-プー
10日、西表島の琉球大学研究所に到着直後、さっそく研究所屋上へ移動して、調査対象の船浦湾に接する琉大圃場のマングローブ林を俯瞰しました。
明日に備えて、カヤック8艇をトラックに積み込んでから、車2台で移動し、船浦湾の干潟を散策しました。素早く逃げるコメツキガニを、琉大の渡辺先生にならって、手ですくい上げる生徒もでて、海水が浅く残されたところにフグを見つけたりもしました。日没の時間を見計らって、川沿い木道へ車で移動し、ホタルや睡眠中のハゼも観察しました。




11日、台風は遅れ気味であり、地形状南寄りの風の影響を受け難い西田川を、予定通りカヤックで遡上しました。自分たちで協力してトラックから川面までカヤックを下ろし、実践本位で二人組みになって漕ぎ出しました。途中で、サキシマスオウノキの板根やマングロ-ブ樹種の色々な様子を観察していきました。船浦橋から1500 mほど上がったところで停泊し、川沿いの道をトレッキングしました。かなり厳しい道でしたが、生物写真を撮りながら野帳に記録を残していきました。




11:15にサンガラの滝」到着、時間をとって滝周辺をじっくり調査しました。ポットホ-ルではオタマジャクシ、テナガエビ、魚等も観察しました。帰路のカヤックでは、ヒルギ類の胎生種子を1年間の継続研究に使う生徒が、樹木から直接採取しました。
研究所に戻ったら、カヤックとパドルを水洗いして、救命具も後片付けしてから、昼食を取り休憩しました。

夕方からは圃場の陸側内の散策、モクマオウ、オオギバショウ、バナナ、シ-クワ-サ-等、熱帯・亜熱帯性の植物を見て回りました。また赤外線カメラを設置し、ヤマネコ等の撮影も試みました。なお、宿舎の玄関先には、組織培養でふやされた絶滅危惧種のイリオモテランが、さりげなく植えられていることも教えて頂きました。さらに希望者のみ大見謝(オオミジャ)地区に車で移動して、海岸の堆積岩の地層も観察し西表島の成り立ちを学びました。




12日、夜半から朝にかけて台風は過ぎ去ったものの雨が残ったので、午前中は予定を変えて、これまで観察してきたことを班毎に発表しました。次いで、渡辺先生の提案で、英語による自己紹介をメモ無しで実施しました。EIの授業で鍛えられているので格好は付いていましたが、なにより心の中から出てくる言葉の大切さを認識することができ、有意義な経験となりました。


午後から圃場へ移動し、マングロ-ブ樹種を比較しつつ各種の特徴を解説されました。

ヤエヤマヒルギの支柱根を単離切断し、根の内部構造であるエアレンキマ(空気の通り道)も示されました。悪路に苦戦しながらも、行く先々で、キバウミニナやシレナシジミの殻など、カイやカニなどの動物も生息して生態系をつくっていることを教わりました。天然記念物のニッパヤシの群落では、個体一つ一つに鑑札が付いており、如何に貴重であるかを垣間見ました。
小川に出て膝上まで水に浸かりながら、両岸の樹種の相違と下流へ向かっての推移を観察しつつ、湾まで到達し、延べ1 kmの行程を2時間かけて歩きました。
車で研究所に戻ってから夕食休憩の後、午後8時から研究棟でセミナ-を開始、渡辺先生の自己紹介から西表島のマングロ-ブの特性まで、学術的な高度な話を解り易く二時間にわたって話をしてくれました。そして、この日の最後は、肝試しと称して農学部関連施設のイノシシ飼育場へ行きつつ、星を観て一日が終わりました。

13日午前中、これまで自動撮影をしたカメラの映像を全員で確認しましたが、ヤマネコは映っていませんでした。研究所の標本や最先端の研究機器も見学しました。白浜グル-プと合流する移動の途中で、星砂海岸と浦内川の展望台に立ち寄り、12時20分に「海人の家」にて白浜グル-プと合流しました。



