高校1年 サイエンスクラス 夏季学校を実施しました
学園便り
高校1年サイエンスクラスは、7/25~7/28の4日間、夏季学校を実施しました。
本学園の校章にデザインされている富士山の植生や地質的特徴を調査し、普段教科書では体感することが難しい「本物(リアル)」に触れることで、より深い探究活動を行いました。
生徒は今回の研修を通じて「なぜ、富士山の五号目以降は植物が少ないのか?」「なぜ、富士山の山肌は色が違うのか?」「なぜ、伊豆半島には火山が多いのか?」など各々の疑問を持ち、その疑問点を調査・分析することで自分の答えを導き出しました。
1日目:富士山(御中道)
・トレッキングに向けて腹ごしらえ


・御中道トレッキング
中野博士からのレクチャーを通じて、植物の特徴・共通点を考えました。

駿河湾を望むポイントから大地の動きを読み解きました。


・フィールドワークでの作戦会議
ホテル到着後は明日の研究テーマをグループで議論しました。

より精密な実験道具も扱います。

2日目:富士山(御庭洞門でのフィールドワーク)
・いよいよフィールドワーク
限られた時間内で、可能な限りデータを収集しました。

(↑イタドリという植物の色が場所によって異なることを発見!生徒は周辺の「スコリアと関係があるのではないか?」と仮説を立てました。)

(↑マツの節の間隔が場所によって異なることを発見!生徒は「日当たりの良さが影響しているのではないか?」と仮説を立てました。)

(↑場所によって木の高さが場所によって異なることを発見!生徒は「木の根元のスコリアの大きさが関係しているのではないか?」と仮説を立てました。)
・データの整理・分析と中間発表
ホテル到着後は測定したデータの整理・分析と中間発表を行いました。中間発表では、中野博士からのご指導、ご鞭撻をいただいた他、生徒同士の質疑応答も活発に行われ、生徒の研究がより深いものとなりました。




・天体観測
空気の澄んだ山中湖周辺で、都会では観察が難しい天体観測を行いました。生徒からは「はじめて夏の大三角を見た!」「あれがはくちょう座か!」など、教科書や参考書で学んだ知識を実際に体感する貴重な経験となりました。

3日目:富士山(宝永火口)
・宝永火口トレッキング
3日目は静岡県側の富士山を調査します。御中道(山梨県側)と宝永火口(静岡県側)の違いを比較しながら、5合目から6合目までトレッキングを行いました。森林限界を超えた先の過酷な環境で、植物はどのように生息しているのでしょうか?



・柿田川湧水
都市河川でありながら、比類のない水質を誇る柿田川は富士山系の伏流水です。ここは元紡績工場で、工場跡の廃材で埋もれていた場所を、地元の方々が清掃し、本来の姿を取り戻しました。富士山の水の流れを考えるとともに、「本当に大切なものは何か?」をあらためて考える貴重な機会となりました。

・達磨山
ここまで調査した富士山・伊豆半島を一望できるスポット。生徒は旅の達成感を感じながら、伊豆半島の歴史を眺めました。



4日目:中伊豆エクスカーション
・旭滝(柱状節理)
伊豆半島が火山により構成されていることの証拠「柱状節理」


・下白岩(有孔虫)
本来、南洋に生息していた有孔虫(レピドシクリナ)の化石。なぜ、日本近海にはいないはずの有孔虫の化石が伊豆半島で発見されたのでしょうか?生徒は自分の答えを導きます。

・伊豆半島ジオパークミュージアム「ジオリア」
伊豆半島の構造や成り立ちなどを、専門学芸員の方に説明していただきました。ここまでの夏季学校内容の答え合わせを生徒は行いました。



・浄蓮の滝(柱状節理)
浄蓮の滝は太平洋側では珍しい南方向から落ちる滝です。通常は太平洋側では北方向から落ちる滝がなぜ、南から落ちているのでしょうか?生徒はこれまでの学習を踏まえて考察しました。



・丹那断層公園(活断層の露頭)

・酪農王国オラッチェ(断層と共生)
もともとこの土地はわさび田で栄えた水の豊な土地でした。その土地でなぜ酪農が行われているのでしょうか?人類の土地開発が自然に及ぼす影響を考える機会となりました。

今回の夏季学校を通じて、生徒は多くの本物(リアル)を体感しました。その中には植物の植生や地質的特徴だけでなく、その地域の人々の生活や人との繋がりなど、さまざまな「本物(リアル)」がありました。学びを机上の空論で終えるのではなく、三現主義とする夏季学校を通じて、生徒がどのような考えで行動するのか、今後の活躍に期待が膨らみます。