津田塾大学 英語英文学科 木原先生の出張講義を実施しました
山脇の学び
11月1日、Learning Forestにて、中1から高3までの希望者を対象に、津田塾大学学芸学部英語英文学科・木原健次先生による出張講義「映画Little Women (2019年)による原作小説の翻案:「女性と労働」の現代的表象を考える」を実施しました。
アメリカの作家オルコットが 1886 年に発表した『Little Women』は、南北戦争時代のアメリカを舞台に、4人姉妹の成長を描いた小説です。日本では『若草物語』のタイトルで知られるこの作品は、発表当時から多くの読者に愛され、150年近く経った現代まで、舞台、映画、アニメーションなどで何度も映像化されて来ました。
今回の出張講義では、G.ガーウィグ監督による 2019 年発表の映画『Little Women』を読み解くことで、現代における「女性とキャリア」をめぐるテーマがどのように作品に投影されているか、また、文学作品や映像作品を通して私たち自身の生き方についてどのように捉えることができるかについて考えました。
主人公の四姉妹の次女で作者オルコット自身が投影されたジョー・マーチは、原作小説では物語の最後に結婚します。一方、映画版では最後まで結婚せず、職業作家として自立して生計を立てて行く道を選びます。ここには、原作が作られた1868年と映画版が公開された2019年における女性の生き方の変化が反映されています。その一方で原作にはない映画版のジョーの台詞から、仕事・お金・結婚を含めて21世紀を生きる女性の生き方の複雑さが読み取れることを、映画の場面を鑑賞しながら学ぶことができました。
新自由主義化、ポストフォーディズム化と呼ばれ、個人の自己責任・自助努力・自己決定が称揚される現代において働く女性が直面する問題、女性同士の連帯や絆を示すSisterhoodというテーマ、アダプテーション(翻案)という表現技法など、文学研究の地平の広がりを感じる貴重な学びの機会となりました。
大学の先生出張講義では、普段は生徒の参加者が多いですが、今回は保護者の方のご参加が多く、生徒と一緒に講義を聴きながらメモを取ったりご質問をされている様子がとても素敵でした。こうした親子で学べる機会は今後もぜひ増やしていきたいと思います。