法政大学総長 コー・ダイアナ先生に講演をしていただきました
山脇の学び
11月14日(金)、中学3年生の総合学習の一環として、法政大学総長 コー・ダイアナ先生をお招きし、キャリア講演会「自分らしい未来を描くためにー社会の現状と女性の社会参画を通して、自分のこれからを考えようー」を実施しました。
この講演会は、「女性と労働」というテーマの連続授業の第2回目に位置づけられるものであり、高大連携校である法政大学のご支援を受けて実現しました。
女性の社会進出が顕著となって久しい今日、女性の生き方や働き方の選択肢は多様化しています。しかしながら、依然として賃金格差や昇進機会の不平等、育児や介護との両立、保育所不足、ひとり親家庭の問題など、多くの女性がさまざまな課題に直面しています。その結果、働き方を見直さざるを得ない状況や、母親が精神的に追い詰められて疲弊してしまうケースも少なくありません。こうした現状を踏まえて、生徒達が将来社会に出た自身の姿を想像し、キャリア形成やワークライフバランス、自らの生き方について考えを深めることを目的として、中学3年の学年担当者が企画したのが、この「女性と労働」という連続授業です。
講演会の内容は、(1)「社会の現状と女性の社会参画を通して」(2)「自分のこれからを考えよう」という、大きく分けて2つの柱で構成されていました。
(1)「社会の現状と女性の社会参画を通して」のお話は、グローバル・ジェンダー・ギャップ指数において日本が148か国の中118 位(2025年)であるという紹介から始まり、「そもそも『男女平等』とは何でしょうか?」という問いへと発展していきました。男女平等に関する包括的な定義、OECD諸国の女性の就業率、年齢別の非正規雇用割合の男女差、男女間賃金格差、女性管理職の比率の比較(企業の規模別、産業別、国別)などのさまざまな情報やデータを示しながら、ジェンダーギャップの要因として考えられることや、女性に対する「『わかりにくい』差別」というものについて、丁寧に説明してくださいました。そして、「女性の社会参画を含むDEI(Diversity, Equity, Inclusion)推進とは、本当の意味での選択肢が与えられる環境作り」であるというお考えが示されました。
そのうえで、(2)「自分のこれからを考えよう」のお話では、今後社会に進出する生徒達が「考えておくとよいこと」として、「自分の才能に気づくこと」「自分の価値観や信念を理解すること」「自分の成長を支えてくれる人々を意識すること」「心を落ち着ける習慣を持つこと」「社会の一員として、人生の目標を考えること」という5つのポイントが示されました。最後には、「自分のコンパスを持って、一歩踏み出して、冒険しに行きましょう!」という熱いエールを贈っていただき、講演会は終了しました。
講演の後には、質疑応答の時間を取っていただきました。コー先生は、質問のひとつひとつに対してとても分かりやすく温かいお言葉で回答してくださり、生徒達は一層理解を深めることができた様子でした。
今回の講演は、生徒達にとって、女性を取り巻く社会の現状や社会全体でどのように課題を解決していくべきかを考えるだけでなく、自身の生き方について深く思いをはせる貴重な機会となりました。また、教員にとっては、女子校という環境が果たすべき役割や目指すべき目標を改めて実感する機会となりました。