探究的手法を用いた志を育てる教育
本校の探究活動では、生徒が周囲の社会や自然、他の存在へ関与し、「自分ごと化」していく過程で、「探究心」を喚起し、どのような場面においても好奇心を持って愉しめる力、社会に関わる力(向社会性)を育みたいと考えています。これは中学時代の「総合的な学習の時間」と、本校独自の教科である「探究基礎」を土台に展開されています。
探究学習に「校外学習」を取り入れる意図
本校では探究活動を行う際に校外学習の機会も活用しています。校外活動には、「動植物・地質・水質などの自然」や「歴史・風土・遺産などの地域文化」、さらには「その土地における絵画・写真・音楽・文学などの芸術的文化」などを多岐にわたる要素が含まれています。校外学習を探究のプロセスにおける検証の場の1つとし、この活動を通して、自分が社会にどう関わりたいかを探っていきます。また、様々な情報に直接触れることで、豊かな感性を育むとともに、論理的な思考力を高める場になります。
6年間の流れ
中1 自己知 |
自分史の作成や、活躍している方々の生き方を知り、議論することを通して自分の強みや特徴を発見していく。 |
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中2 自己知+社会知 |
職業に関する知識を増やしていくことで、社会についての視野を広げる。 同時に自信の適正についても再発見していく。 |
中3 社会の課題と向き合う |
中1・2で形成された自己知・社会知をもとに、社会に存在する答えのない課題について議論していく。また、この課題に挑んでいる大学をいう教育機関の役割についても理解する。 さらに「探究基礎」の授業では、高校から始まる探究活動に必要なプロセスや手法を習得する。 |
高1 自分が生きていく場所 自分が生きていく時代(1) |
高1では、校章にもなっている富士山の周辺をフィールドに、各グループで探究活動を行う。富士山原始林や宝永火口、湧水群などの大自然だけでなく、そこで育まれた歴史・風土・文化など各自の探究課題に応じて、現地で検証を行う。また後半は、高2の探究活動に向けた準備として、必要な知識・背景を知り議論することで知的好奇心を喚起し、各々の探究課題を模索くする。 |
高2 自分が生きていく時代(2) |
高1で得た知識をベースに、長崎・沖縄のフィールドも活用して「平和とは何か?」をメインテーマに各自の探究課題を考えていく。後半は、これまでの学習を受け、自主探究として自分が関わりたい社会の課題について、各自が探究活動を行う。 |
高3 志の実現に向けて |
自己知・社会知を通じてどのように社会に貢献するのか、という「志」のもと、大学の志望動機の文章化を行う。 |
中1~3シアターラーニング
中1 ~ 3 では「考えて行動できる人」を育てるツールとして、「シアターラーニング」を導入しています。「心」と「頭」を使うアクティブな学びとして総合的な学習の時間や特別活動の中で取り組んでいま す。普段とは違ったアプローチで「殻を破る」「相手を感じる」「察する」ことをテーマに、シアターゲームやワークショップを行い、他者と協働して新たな価値観を生み出す力を育みながら、問題解決能力・発想を転換する力、さらにコミュニケーションスキルを身につけます。
中1~3学習の記録
中学では、一人1冊の手帳を持ち、毎日の学習状況を記録しています。手帳には日ごと、週ごとの記録ができるようになっており、やるべき課題を書き出し、実際の取り組み状況を振り返ることで、「時間管理」の意識を高めます。手帳は1~2週ごとに担任に提出し、担任はこれに目を通し、必要に応じて助言しています。
中1・2新聞を読もう(INFO)
「社会知」を育てるためのプログラムとして、「新聞を読もう」という取り組みを実施しています。定められたテーマの中から、その週に最も興味を持った新聞記事を貼りつけ、自分の意見を書いて提出します。これを編集し「INFO」として配布しています。自分ひとりでは気づかなかった社会の動きについて、他の生徒のコメントも参考にして「社会理解」を深めています。
中2 業界インタビュー
中2の総合学習では、「業界インタビュー」に取り組んでいます。一人ひとりの生徒が興味を感じる業界で仕事をしている周囲の方に、その業界の仕事の内容をインタビューして、紹介する原稿として仕上げます。
中2 マイオピニオンコンテスト
中2では、世の中で起きている事柄から、様々な意見対立のあるテーマを各自設定し、それぞれの立場の価値観を知った上で自分の意見をまとめ発表するコンテストを行っています。
中3・高1 ユニバーシティウィーク
中3の「ユニバーシティウィーク」は、大学の先生を本校にお招きして実施する学部・学科説明会です。生徒たちは「マイキャリアプランニングⅠ」という記録ノートに、説明内容や考えたことをまとめて提出します。総合学習での進路研究を通して、自分の力を活かしたい分野を探し、自分の力を磨いていくための学問の内容にも触れていきます。
高1のユニバーシティウィークでは、主要な学問系統に関系する入門講義が行われます。大学の先生から直接講義を受けることで、大学での学問の醍醐味や、各分野の研究の内容を深く知ります。夏休みには、大学のオープンキャンパスに参加して、「マイキャリアプランニングⅡ」の課題に従ってレポートを作成します。生徒はこのような取り組みから、大学で専攻を考えている学問分野を研究する「高2の課題研究」を経て、自分に合っている大学や学部・学科を決定していきます。