中1 臨海学校~房総半島~
学園便り
中学1年生は、3泊4日の日程で4班に分かれ、7月23日から8月1日までの期間に、房総半島をフィールドとした臨海学校を実施しました。
<1日目>
学校に集合し、カフェテリアで結成式を行い、バスに乗って富津市へ向かいました。富津市では、下州海岸にて地引網の体験をしました。2つのクラスが互いに協力し合い、タイミングを合わせて、沖合いに仕掛けられた網を海岸まで引き寄せていきました。
アジ、イワシ、ヒラメ、カワハギ、イシダイ、タコなども獲れました。網にかかった魚たちを、最初は慎重に、慣れてくると掴み取りのように大胆に触っている生徒もいました。
昼食後は木更津のホテルでたっぷり2時間を使って、シアターラーニングワークショップのプログラムを実施しました。5月の研修でも行った「水ゆらし」によってお互いの緊張をほぐし合い、ウォーミングアップとしてさっそく新しい大学入試問題(円盤問題)を、5分間という限られた時間の中で、集中して取り組みました。
今回のメインのプログラムは、「大漁祈願をテーマにした新しいCMの作成」です。5~6人のグループごとに30分間でセリフや音楽(歌)ダンスの要素を入れたものを作り、発表します。生徒たちは、個人で考えたものをそれぞれ持ち寄り、話し合いを重ねて意見を出し合いながらCM作りをしていました。発表では、緊張しながらもそれぞれのグループごとに成果を発表することができました。
夕食後のHRでは、九十九里大漁節保存会の方々をお招きし、九十九里町片貝に伝わるいわしの地曳網漁の様子を詠みこんだ歌で、大漁の祝いの宴席などで唄われてきた「九十九里大漁節」に合わせた踊りを教えて頂きました。最初は独特な手と足の動きに多くの生徒が四苦八苦していましたが、二度三度と踊るうちに、上達していき、保存会の方々にも褒めて頂きました。
<2日目>
この日のプログラムは、文化財(豪農屋敷)見学と水泳です。豪農屋敷内では、勝浦市に伝わる民話「お仙ころがし」を聴いたり、階段状になった箱箪笥、大黒柱や天井の梁、屋敷内の間取りなどを見学し、生徒たちは約100年前の農家の暮らしに思いをはせていました。3班(EF組)には、1泊2日で山﨑校長先生も参加して下さいました。


文化財見学後、水泳の授業に取り組みました。泳力ごとに4班に分かれて、それぞれ指導を受けました。プールに入ることを楽しみにしていた生徒たちが多く、特に自由時間には、友達同士で追いかけっこをしたり、ボートに乗ったりして思う存分楽しんでいました。
午後の水泳の休憩時間には、ミニBBQも行いました。生徒たちはとてもおいしそうに食べたり、なかには焼き上がったフランクフルト、焼きトウモロコシをみんなに配布したり、焼くことを手伝ってくれる生徒もいました。
夜のHRは、1日目のシアターラーニングの振り返りとして、再び円盤問題に取り組みました。今回の問題は「『呼吸』という言葉を使って小学3年生に向けて道徳の授業を展開する」というプログラムです。5分間集中して考えて、1人ずつ順番に発表しました。聴衆の1人として、真剣な表情で発表を聴いている生徒がとても多かったです。HR後は部屋に戻り、終礼までのあいだに各自部屋で臨海学校のしおりに日誌を書いたり、なかには夏休みの宿題に取り組む生徒もいました。
<3日目>
この日は、朝から大掃除を行い、朝食後に松籟荘を出発し、バスで南房総の館山市にある沖ノ島へ。沖ノ島は、関東大震災後に砂州によって陸続きになった島です。沖ノ島のNPO法人海辺の鑑定団の方にガイドをして頂きながら、イノー観察やビーチコーミングを行いました。タカラガイを探したり、カニ、イソギンチャク、とても長い名前をもつアマモという海草(リュウグウノオトヒメノモトユイノキリハズシ)などを実際に見せてもらいました。島の中央部は、うっそうとした森林地帯になっており、森の中に入っていくと、とても涼しく感じられました。島には、宇賀明神をお祀りする神社と樹齢300年を超える御神木があり、沖ノ島の歴史を感じることもできました。
昼食後は、沖ノ島で見つかったタカラガイを使ってストラップを作ったり、館山の海に住むサンゴや魚たちをスライドで見て、午前中の沖ノ島探索の振り返りをしました。生徒たちが自分で選んだタカラガイやビーズを取り付け完成させたストラップは、世界で1つしかないオリジナル作品です。臨海学校でのお土産の1つにもなりました。
この日の宿泊地は鴨川市にあるホテル海光苑です。夕食後のHRでは、最後の円盤問題「将来自分の子供に一生を支える5文字から始まる言葉(座右の銘)を作る」に取り組みました。3回目となった円盤問題ですが、今回も一人一人とても真剣な表情で問題に向かっていました。この問題には、生徒たち自身が普段から保護者の方をはじめ、多くの人に支えられて生活を送っていることに気付き、感謝の気持ちを表現できることを願って、アクティブラーニング協会の方々に、特別に考えて頂きました。前回のHRより、さらに自分の考えを周りに伝えようと工夫したり、大きな声で発表が出来ている生徒が増えており、短い期間での成長が感じられました。
<4日目>
最終日は、鴨川シーワールドへ行きました。まずは、ベルーガが飼育されているマリンシアター内で「シャチとの共生」という特別プログラムを受けました。鴨川シーワールドで飼育されているシャチたちの誕生から成長の様子など、興味深いお話を聞くことができました。その後は行動班ごとに分かれて、園内を自主見学しました。生徒の多くは、シャチのパフォーマンスショーが行われるオーシャンスタジアムへ直行していました。実際に、シャチのダイナミックなジャンプやトレーナーとの触れ合いを目の当たりにして、感動している生徒も多くみられました。
<生徒の感想より>
生徒たちが、臨海学校のしおりの中に書いた感想の一部をご紹介します。
・私は、集団(学年のみんな)で生活することの楽しさが心に残りました。集団行動は1人の責任がみんなの責任となってしまうので、大変なところがありました。ですが、学校のみんなと3泊4日という時間の中で過ごせるというのは、新鮮でとても楽しかったです。この経験を通して、みんなともっと信頼関係を気付いてきたいと思いました。
・特に3日目と4日目では南房総の海をテーマとした活動を行いました。印象に残っていることは、現地の方々が、海・自然・命をとても大切にしており、その方たちの話を聞いているときにも、それらをとても大切にしていると感じられました。また、それらの大切さを改めて知ることができて良かったです。
・シアターラーニングなど、臨海学校では、校外で活動するための目標が常に目の前にあるため、クラス内だけでなく他のクラスと協力して課題を達成することができました。
・係の仕事は自分なりに頑張りました。でも、もっとみんなに気配りできたかなと思います。どんな行動をすればいいのか、状況を考えて判断して行動できるようになりたいです。
・私の班は、4日目の朝に少し起きるのが遅くなってしまいました。全体の行動に遅れはしなかったのですが、もし、何分かの差で遅れが出てしまったら、とても大変なことです。集団行動をする上で時間を守るというのはとても大切なことです。今回は、遅れはなかったので良かったですが、これから気を付けていきたいです。そして臨海学校では、集団行動の大変さ、時間を守ることの重要さなどを学ぶことができました。
・私が一番心に残っていることは、地曳網体験をしたことです。地曳網をやれることもあまりないし、みんなで協力してやったからです。みんなで協力しなければできないので心に残っています。これからもみんなで協力して過ごしていきたいです。
・今日から3泊4日の臨海学校が始まるため、少し緊張していました。一人一人目標をもち結成式を迎えました。私は、集団行動の中で大切な時間を守ることと校外で活動するため、山脇生らしい立ち居振る舞いを意識することを目標にしました。今日はシアターラーニング・地曳網・HRでの大漁節をやりました。シアターラーニングでは春に行った研修と同じなのかなと思いましたが、動画のようなものを作るといった課題が出されたときには、グループで協力しながらやることができました。夕食後のHRでは、大漁節保存会の方々に踊りを教えていただき、その方々との触れ合いの中で、九十九里の伝統文化を体験することができました。
・沖ノ島探索では、身近に自然を感じることができて良かったです。そしてタカラガイを見つけることができてうれしかったです。ストラップ作りでは、ひもを貝に入れるのが難しくて時間がかかってしまったけれど、きれいに入れることができて楽しかったです。夜の円盤問題は、とても難しくて、最後まで書けませんでした。みんな上手く書けていて、すごいと思いました。
<臨海学校を終えて>
3泊4日の臨海学校での体験を通して、生徒たちが目標に向けて仲間と協力することの大切さ、主体的に様々な活動に挑戦した結果の達成感、机上の学問だけでなく現地で本物に触れることで学ぶことの面白さを学べたのではないかと感じています。特に、これからの学園生活の中で、シアターラーニングで学んだ集中力、自分の言葉で考えを表現する力、積極的に発言する力を発揮しながら自ら成長していけるようにと、期待しています。