山脇学園中学校・高等学校 YAMAWAKI GAKUEN JUNIOR & SENIOR HIGH SCHOOL

山脇の“いま”を伝える学園ブログ

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2025年度 高校入学式を行いました

学園便り

校内のそこここで春の息吹が感じられる4月7日、高校の入学式を行いました。

高校1年生は、全員が山脇学園中学校からの入学生です。

昨年度までと同じ顔触れではありますが、高校生になり今までの進級とは気構えも異なります。

よい緊張感を持ち気持ちを新たにして臨んだ入学式では、きっと特別な思いを抱くことができたでしょう。

高校入学式 学校長式辞        

 

山脇の桜の木々が桜花爛漫、みなさんの新しい門出を祝福しているようです。山脇学園高等学校へのご入学おめでとうございます。

2週間ほど前に、ここで中学の卒業式を行いました。同じ場所にいて、知っている顔が沢山いるという意味では、緊張感や新鮮さは少ないかもしれません。でも、高校生になったのだ、という自覚をもってここにいらっしゃるのだと、みなさんの凛とした姿を見て思います。

あなた方は、ご自身で山脇学園高等学校の進学を選び、ここにいらっしゃいます。ここからは自分で選択した学びの道を、磨き、深めていくことになります。この決意と共に、今日あなた方が高校生になられたことを心から喜び、祝福して下さっている保護者の方や先生方にも思いを馳せてほしいと思います。

「高校の3年間は、あっという間」と多くの人が語ります。また大人になったとき、あれが自分の原点になった、という人が多いのも高校時代で、人生の中でも最も印象的な煌めきと深い意味をもつ3年間だといえます。

訪ねてくる大学生の卒業生たちが口をそろえて言うのが、「高1の時が大事だった。あそこでもっといろいろ本気で頑張っておけばよかった」という言葉です。あの時からいろいろなことに取り組んでいれば違う選択肢があったかもしれない、もっと力を伸ばせたかもしれない、と高校生活を終えたときにしみじみ思ったのだそうです。多くの先輩方からのmessageとして「高1が大事」のことばを、いま伝えておきます。早速、高校3年間で達成したい目標を掲げ、そこから逆算して今からできることに取り組み始めてください。

何かを成す人に目標がない人はいません。大谷選手が高校1年生の時に、「3年後に8球団からドラフト1位で指名される」という目標を掲げ、達成シート「マンダラチャート」を作って、一つ一つ実践したことは有名です。でも多くの人はそこまで明確な目標を持っていません。皆さんはどうでしょうか。まだ見つからないという人も、焦ることはありません。本校では、高1は自分の志の枝葉を広げる時期としています。大切なのは動き続けること。コンフォートゾーンを飛び出し、少し広く少し高いラーニングゾーンでチャレンジとアクションを繰り返していれば、必ずあなただけの志が見えてきます。私は音楽の道を志と決めたのは高校2年の時、教員になるという志を定めたのは大学院生の時でした。いずれも紆余曲折の末決めた道です。一本道でも平たんでもない志の旅かもしれませんが、真摯に歩み続けていけば、たどり着いたところに後悔はない、と信じています。

目標を立てるときには、行きたい大学や就きたい職業を目指すだけの目標ではなく、「なりたい人間像」も描いてください。みなさんは中学で「ラーナープロファイル」を通して、これからどんな力を身に付けてどんなことに貢献できる人になりたいか、を考えてきました。高校でも引き続き、自分を見つめ、強みや弱みに気づき、なりたい人間像に向かって行動を進化させていってほしいと思います。

中高6年間は人生で最も心身の発達の著しい時期ですが、特に高校生の変化を見ていると深く感動する場面があります。その秘密は脳の発達です。実は、中学生と高校生では子ども脳から大人脳へ、構造が大きく変わっていくのだそうです。12歳くらいから大きく発達するのが「扁桃体」です。「扁桃体」とは目の奥のほうにある部分で、これが成長ホルモンの影響で中1くらいから非常に活性化します。扁桃体は人の生存に関するとっさの判断を下す大切な場所で、活性化すると不安や恐怖・怒りといったネガティブな感情が起きやすくなります。中学時代、イライラしたり不機嫌になったりしやすい時期があったなあ、と心当たりがある人はいませんか。

一方、この扁桃体をコントロールして感情を抑える機能を持つのが、脳の前部分にある「前頭前野」です。思考や創造性を担い、人を人たらしめる中枢部分といわれる場所ですが、ここは成熟が最も遅い部分で、扁桃体よりも遅れて、高校生くらいから発達が始まります。したがって中学時代は、直感的な感情をつかさどる部分は急激に発達している一方、理性的な判断をする部分の発達が十分に追い付いていない、ということになります。

高校生が大人脳になっていく、というのは、前頭前野の発達により、「体験を記憶する脳」から、「過去の類似事象に照らして違いを認知して記憶する脳」に成長しているということです。みなさんはこれからさらに経験を重ねながら、なにごともあらかじめ予測や準備ができる脳にリニューアルしていくのです。またあらゆる経験が受け身から自分ごとになることで、狭い視野から俯瞰する視野を獲得していきます。以前もお話しした「メタ認知」(自分の思考や感情、行動などを客観的に把握する力)がさらに身についていくのです。高校生の行動変化は、このような脳の発達と学園生活での多種多様な経験が密接に結びついていたのですね。

さて脳は20代前半でほぼ完成しますが、前頭前野だけは緩やかにずっと発達し続けるのだそうです。記憶力や視覚聴覚といった機能は衰えても、知識と経験を使いこなす知恵や豊かな人間性をつかさどる部分はいくつになっても成長し続ける…脳は成長のピークを過ぎれば衰えるばかりだと考えていた私は、年を重ねることの意味がここにある、と感動を覚えました。

ただし、「前頭前野」を発達させていくには、次のような心掛けが必要だそうです。「人と交流をすること」「創造的な活動をすること」「たっぷり睡眠をとり、体を動かすこと」「バランスの良い食事をとること」みなさんが今から心がければ、人生にわたってより高次な脳の発達を促すことが期待できますね。

脳の発達を知ることで、日常の自分や他者の認知行動を俯瞰して見られるようになり、人の心と体、行動の理由づけができます。是非みなさんも認知発達の仕組みから、自分たちの感情や行動について探究してみませんか。

年度の初めにあたり、山脇生としての生徒目標を確認したいと思います。中高6学年同じ生徒目標なのですが、これらの項目で期待する行動は、もちろん全学年同じではありません。高校生にはより高い視座で、求めている人間像を理解して行動し、後輩の範となっていただくことを期待しています。高校1年生は6学年の中核となる学年です。部活や行事では、高校2年生を助け、下級生を支援する、いわば架け橋となる立場です。またこれまで先生や先輩に言われていたことを、これからはご自分が主体的に考え行動していくことになるでしょう。その視点から、再度これらの目標の意味を考えてください。

 

「礼節・協働」

誰に対しても、一人の人格として尊重し、誠意をもって接し、礼節ある振る舞いをする人。目と心で話を聴き、価値観の異なる意見もいったん受け入れられる人。そのうえで同じ目標に向かって意見をすり合わせ、良い成果を生み出す人。どんな時も自分の感情をマネジメントし、笑顔で、きげんのよい場、みんなのパフォーマンスが上がるような場を創り出す人。ルールやマナーを守り、誰からも信頼を得る人。

挨拶は自分から。後輩たちにも手本を示してください。「ありがとう」と「ごめんなさい」はなるべく早く伝えられるといいですね。しんどいときは抱えず「助けて」を伝えることも大切です。重い荷物を持たなければならないときは、みんなで分かち合って持つことで、折れずに進むことができます。

 

「チャレンジ・アクション」

人は安心で安全なコンフォートゾーンにいると成長を止めてしまう生き物です。だから今の場所よりも一歩、広い世界、高い目標のラーニングゾーンに踏み出すことを意識する、ということでした。誰だって挑戦は怖い、けれど真剣に打ち込んだ点は結果に関わらず、あなたの中に良質の点として刻まれる。それは後から必ず、気づくことなのです。

また人がもっとも飛躍するのは「これまでと異なる環境に身を置いたとき」や「新しいことに挑戦したとき」そして「自分の力量を越えたことに挑んだとき」です。さあ、皆さんは今年度、何に、どこまで挑戦して枝葉を伸ばしますか。

 

「自走・自治・俯瞰」

自分の道を自分でつくり、自分たちの場所を自分たちでつくること。行動の結果に責任をとること。これが自走・自治でした。でも自分だけの狭い視野だけで突っ走るのではなく、上からの空間軸(Bird´s‐eye view)で見る視点と、過去・現在・未来の時間軸で捉える視点、この縦軸と横軸から自分やものごとを見る力が「俯瞰」でした。

私も忙しいとき、苦しいときは「部分ではなく全体を見よう」と自分に声をかけます。すると人の思いや立場に気づけたり、目的の障害になっているものが見えてきたりして、気持ちが楽になったり、道が拓けてきたりするものだ、と実感しています。

 

今年度の目標と言っても、これまで話してきたことばかり。「頭ではわかっている、でもいつも心がけて実際に行動に移すのは、実はとても難しい」ということも皆さんは知っていると思います。生徒目標はみなさんがより素敵な人として成長するためのものですが、困った時には自分を振り返る助けともなるものです。また、きっと社会にでてからも、あなた方の生き方の原点となる目標になります。

明るく、素直で、前向きなパワーと限りない可能性を持っているみなさんが、一人ひとりの持っている力をどんなふうに響かせ合い、学年としてどんなハーモニーを聴かせてくれるのか、これからも楽しみに見守っています。

さて、3月にお知らせしたとおり、山脇学園は今年度より生成 AI を学習情報ツールとして積極的に活用していきたいと考えています。ご存じの通り生成AIは教育業界を席巻する勢いで、様々な学習ツールも開発され始めていますが、本校の目的は、これまで以上に生徒の皆さんが主体的かつ創造的な学びを展開して、思考力や分析力や判断力、未来社会で生成AIを使いこなす力を養いたいためです。生成AIをデジタルフレンドシップツールとして、生徒のみなさんが自立した学習を進められるような活用や、生成AIを介して仲間同士で学びを深められるような活用を目指します。

とても便利なものではありますが、使い方には倫理観と責任感が必要です。みなさんが適切に使いこなすためには、ガイドラインの理解が必須です。そのため、今日このあと全校生徒向けのガイダンスを行います。大切なことをしっかりと抑えながら、自分だったらどう活用していきたいかワクワク聴いていただきたいと思います。

みなさんの高校生活がより一層豊かでアクティブな学びに満ち、一人ひとりの笑顔で彩られるよう願い、高校のご入学をお祝いすることばと致します。

高1の担任団との顔合わせ

新任の先生のご紹介

式の後は高校生活のガイダンスが行われました。全日制、単位制など聞きなれない言葉や、義務教育ではない高等学校の仕組みに熱心に耳を傾けていました。

高校生活でも、中学で培ったチャレンジ&アクションの精神を忘れずに、多くの学びを得てほしいと思います!