山脇学園中学校・高等学校 YAMAWAKI GAKUEN JUNIOR & SENIOR HIGH SCHOOL

山脇の“いま”を伝える学園ブログ

POLARIS

3学期の始業式を行いました

学園便り

1月8日(水)に3学期の始業式を行いました。

抜けるような冬晴れの青空の下、3学期が始まりました。校舎内には朝早くから生徒たちの元気な声が響き渡り、毎年この日はすがすがしい1年の始まりを実感します。

中学始業式での学校長式辞を紹介します。

おはようございます。
2025年、令和7年が明けました。
今年も毎日みなさんの明るい挨拶に満ちた学園でありますよう願います。

昨年の新年の始業式は、能登半島地震直後でした。みなさんがここに当たり前に集い、当たり前に始業できることに、特別な思いを感じたことを思い出します。あれから一年、被災地の状況や暮らしの映像を見るにつけ、希望を抱き復興への道のりを力強く歩んでいる人々の姿に心打たれます。そのような方々の存在を忘れず思いを馳せ続け、支援を継続していくとともに、今ある幸せに気づき感謝の気持ちをもって日々を送ることができる私たちでありたいと思います。

さて新年にあたり、少し大きな視野で学園としての目標をみなさんと共有したいと思います。
昨年取得したスーパーサイエンスハイスクール(SSH)で、本校が掲げた目標は「地球市民として行動し、サイエンティストとしてキャリア選択する女子生徒の育成」です。つまり、山脇学園は「“地球市民”としての自覚を持った“サイエンティスト”を育てたい」と、文科省に宣言したのです。
このことばの重みを、年末年始のニュースや報道番組を見ながら、深く考えていました。世界の諸問題が多様化し複雑化する今、最も求められているのが、まさに本校が育てたいと宣言した人財像だと改めて感じたからです。地球市民とは、自分の国の利益だけではなく、国境や人種を越えて地球上の問題と向き合う行動を選択する人。サイエンティストとは、すべての学問にサイエンスの視点からアプローチして社会課題を解決しようとする人。人々の持続的な幸せWell-beingの発想でテクノロジーを駆使して活躍する人。

そんな人になるのは何だか大それた望みのような気がするかもしれません。でも小さな心がけを忘れず努力すれば、どのような学問を通しても、どのような職業についても、誰にでもこのような生き方をすることが可能だと私は考えています。

その心がけとは「壁を越える」。困難や障害といった外側にある壁ではなく、内なる壁のことです。どうも人は無意識に自分の中で「壁をつくる」いきものだと感じます。誰でも自分が大切で自分を守りたい。だから防護壁をこしらえるのです。壁を高く頑丈にすれば、周りは見なくていいし誰も攻めてこない。傷つかなくていいし、唯我独尊でいられます。

私もそんな自分を感じたことがあります。決まって自分に自信がないときでした。自分の小ささを認めたくないから、自分の中にも、他の人に対しても壁をつくっていたのです。でもそれを自覚してからは、そうなりそうな時を意識できるようになりました。価値観が異なる人や、苦手な分野の学びと向き合うときでも、「知らない」ということを恥ずかしがるより、「知りたい」という気持ちを大切にして向き合うようにしています。そのほうが思いがけない交流や初めての経験を味わえ、ずっと楽しい。大切なのは、ほんの少し勇気を出して違いを楽しみ、目の前の人やものごとに歩み寄り、リスペクトしようとすることなのだと実感しています。

壁は、多様な価値観を受け入れながら協働していく社会の中では、邪魔になります。あなたの視界を妨げ、思いがけない発見や発想を得る機会を奪います。壁の向こうの苦しんでいる人や困っている人に気づかず、互いに手を差し伸べ合うこともできません。
疑い深く臆病で、違いを認められず人を信じられない人ほど、高く強固な壁をつくります。そういう人が国の統治者になると、他国は競争と敵意、侵略と支配の対象に映ります。権力者が地球市民であるかどうかは、世界の行方を揺るがします。

先日来校し、中3生・高2生に講義してくださった、法政大学副学長のコー・ダイアナ先生と、津田塾大学学長の髙橋裕子先生のお話からは、「女性の壁を越える」というメッセージを受け取りました。未来社会での諸課題の解決や新しい社会システムの構想には、女性の力がますます必要とされていること、それらの構想には指導的地位の女性の輩出は喫緊の課題であることをお話しくださいました。皆さんには、女性が高い志をもって学問を修めることや、社会での主体的な活躍を呼び掛けてくださいました。そして女性が生き生きと活躍するためには、我が国の社会にはまだまだ様々な壁がある、としながらも、まずは自分の中にある壁を越えて高みを目指してほしい、と語られました。それらのことばは、山脇房子先生の教えと重なるメッセージのように私には思えました。みなさんもご自分の中に壁をつくっているかもしれません。それに気づいたとき、越える一歩を踏み出すことを、一緒に心がけていきませんか。

学年の総まとめをする3学期を迎えます。正味2か月半の短い期間ですが、一日一日を大切に過ごしてください。みんなで創り上げる今年度最後の行事が「合唱祭」です。声だけでなく互いの思いにも耳を澄ませて響きをつくり、当日は学年の壁をも越えて、拍手を贈り合う場を創り上げてください。中3生は、3学年が一堂に集えなかった合唱祭を経験した最後の学年となります。最高学年という気概を持って、後輩たちに素晴らしい伝統の行事を継承してくれることを期待しています。

では、みなさんが心身共に健やかな成長を遂げられる一年になりますよう、そして2025年が平和で穏やかな一年でありますよう祈り、今日の式辞とします。

式辞の最後には、学校長から防災「ハンドブック~地震編~」についてのお話もありました。災害がいつ起こっても、自分自身を守れるように目を通し、常に携帯できるミニサイズの冊子です。

式後のHRでは、自分用のハンドブックを作成し、きちんと読みこみました。

3学期も笑顔で、「ご機嫌に」過していきましょう!