中学2年 平田オリザ先生による講演会を実施しました
学園便り
中学2年生では、2022年12月5日の2学期末考査のあとに、劇作家、脚本家、また芸術文化観光専門職大学の学長の平田オリザ先生にお越しいただき、講演会を開催しました。
中学2年生は共通図書として平田先生の著書である『わかりあえないことから』を事前に読んだ上で講演会に臨みました。
平田先生の巧みな話術と興味を引く内容の話が多く、喰い入るように話に耳を傾け、メモをとる姿が多く見られました。著書『わかりあえないことから』に沿ってコミュニケーションとは何かについてのお話や、大学受験に向けた内容も詳しく触れられており、今後の学習に対する姿勢、心構えも示していただけました。
午後は、中学2年生の有志の生徒が集い、平田オリザ先生による中学生向けの演劇のワークショップが行われました。また、このワークショップは教員研修もかねており、この様子を教員は参観しつつ、今後に必要な学びや教育の在るべき姿を考えるという研修を行いました。
転校生がやってきた、という設定で、大まかな流れが示された台本が配られ、生徒たちは班ごとに、全体の構成や終わりまでを意識しながら詳細をつくり、演じました。より自然な流れや会話になるように班で協力しながら進めていきました。はじめのうちは台本に忠実に、そして真面目につくっていました。しかし平田先生の声がけや演じることの楽しさを知りながら、生徒たちはだんだんと自分たちが表現したいことや人にみてもらうための面白さなども考えながら劇をつくり始め、最終的にはどの班も個性あふれる劇が完成しました。
大勢の人に見られながらも見事に劇を完成させ、演じた経験によって、生徒は表現する楽しさや奥深さを知り、成長したことでしょう。




~中学2年生対象の講演会の感想~
●国や地域によって文化や習慣が違う中、どうやって交流したり会話をしたりすれば良いかの話題がすごく印象に残りました。日本、アメリカ、中国など世界にはたくさんの国があり、その中にもたくさんの地域があり、そのまた中にも細かい文化やマナーがある。そんな世界で自分とは世界観や価値観が違う人と上手く交流するにはどうすれば良いのかが今まで分かりませんでした。しかし、講演会でその国・地域への好奇心と自国のルールを押しつけない謙虚さが大事であることを学び、それを活かしていきたいと思いました。
●今回平田オリザさんのお話を伺い、いわゆるコミュニケーション能力とは自分が置かれている状況を判断した上で、適切なマナーやルールの型に自分を落とし込むこと、つまり「臨機応変に対応する力」なのではないかと私は解釈しました。日本では当たり前のことも、ヨーロッパではあり得ないことだったり、関東では当たり前のことも、九州に行けば違ったりします。自分の持っている文化、違いを相手に教え、それを大切にしながらも、その場ではどのような対応が求められるのかを判断する力を養っていきたいと思います。まずは人と人の違いに着目し、身近な家族との違い、友達との違いを大切にしながら、コミュニケーション能力を高めていこうと思いました。
●知識をそのまま覚えるだけでなく習ったところから考えを広げ、深掘りしてみることでより多くの視点や考え方、意見を持つことができると考えました。また、山脇では自分の好きなことや興味のあることを伸ばす機会やいろいろな事にチャレンジできるプログラムが沢山あるため積極的に挑戦し、普段の授業の話し合いや家での家庭学習で自分の中にある能力を伸ばし、磨いていきたいと思いました。また、常にたくさんのアンテナを張り興味を持ち調べると言う姿勢もとても大切だと思います。
~ワークショップに参加した生徒の感想~
●私は今回、協力をして時間制限内により良いものを作る努力を体験することができました。自分の想像力を働かせて、アイディアを出し、グループのメンバーと協力して作品を作る。これは今後何かの授業でプレゼンをする機会が出て来た時や、今回の授業のように協力が大事になった時など様々な場面で活かしていきたいと思いました。また、今回の授業でコミュニケーションはとても楽しいことであり、新たな視点で物事をみるきっかけになると考えました。
●自分がこれから生きていく中で、海外の文化と触れないということは絶対と言っていいほどないと思います。実際に海外に行くかはわからないけれど、ドラマや映画の中でも文化のことを気にすることはあると思います。そのときに、その文化を変だなと思うのではなく、興味を持って調べてみるなど、前向きな態度を取りたいなと思いました。また、午後のワークショップを受けた際に学び、思ったことが大まかに2つあります。1つ目は、脚本(台本)を変えたり、考えたりする際に、同じシュチュエーションで決まっているのにも関わらず、UFOや外国人、ヤンキーなどの多様な発想が出てきて、同じ先生、生徒、転校生の役でも、演じていたみんながそれぞれ違うキャラクターを演じており、そのような発想が出てくるのは、その人がこれまで経験してきたことからなのでなと思いました。親や先生方がよく、学校で勉強したことは一生の財産になると教えてくださっているようなことは、本や新聞、ニュースを見て学校の授業を受けて自分の知識を広げることによって、経験も増え、新しい視点から物事を捉えることもできるようになるのだなと感じました。また、演じる、ということで、これまでに自分が養った知識や経験をアウトプットすることができるのだなと感じました。2つ目は、そのような、学校で学んだり、本を読んだり、知識や経験があることにより、人との会話も弾み、日常生活も豊かになって、結果的にコミュニケーション能力の向上につながるのではないかなと思いました。
~教員からのワークショップへの感想~
●多くの大人(教員)に見られ、また近くで撮影されていてもワークショップに集中し堂々と振る舞っていたのが印象的でした。不慣れなワークショップでも普段から授業に意欲的に参加している姿が想像できました。
●個性的な台本が多く非常に楽しい時間でした。生徒がイキイキと楽しそうにする、こんなワークショップ(授業)が行えるようにしていきたいです。
●テスト明けで非常に疲れているところでも協力してくれたことが非常にありがたいと思いました。疲れていても元気な姿でワークショップに参加していたのが素晴らしいと感じました。