2023年度 中学卒業式を行いました
学園便り
保護者の方、先生方の拍手に迎えられ、卒業生が入場します。
学校長式辞
花々のつぼみが日ごとに膨らみ、春の訪れを告げています。
この佳き日に、保護者の皆様方にご臨席を賜り、山脇学園中学校卒業式を挙行できますことは、大きな喜びでございます。
ただいまお名前を読み上げた185名の皆さん、本日はご卒業おめでとうございます。
3年前の入学式、緊張の面持ちでこの場にいらしたみなさんでした。まだ幼さの残る少女だった皆さんが、ここまで立派にご成長されたお姿を嬉しく思い、この3年間の日々を思い出しています。
皆さんは、小学校高学年をコロナ禍の様々な制限下で過ごしてきたのでしょう。入学された年は、本学園にもまだ様々な制限や配慮が必要でしたが、何事も楽し気に前向きに一生懸命取り組み、新たな中学生活を楽しもうとしていました。
中学1年でご一緒した道徳の授業では、キラキラした目で話を聴き、すべてを吸収しようという気持ちに溢れていた皆さんの表情を思い出します。中1全体の道徳を受け持つのは、私にとって初めてでした。1カ月に一度あなたたちにお会いするのが楽しみで、何を伝えようか、毎回とても時間をかけて準備をしました。結果として、山脇生に伝えたいことの根っこの部分は、全部詰め込みました。
「徳とはなにか」「自律と自立」「想像力と創造力」「学ぶ意味」「レッテルとメガネ」「チャレンジとステージ」など様々なテーマで話をしました。
その中で「志を拓く」というタイトルで話をした回がありました。「志」とは、自己実現と他者貢献の両輪が必要だと話しました。人は自分の夢や目的を果たすだけでなく、それが人の役に立ち、社会に貢献できていると感じられてこそ幸せを感じられるものだからです。何のために自分は存在し、何をするために学ぶのか、「志」という北極星の如く見失うことのない道しるべを見つけるには、何かに心が動く瞬間を大切に、自分の枠を超えるチャレンジとアクションを心がけて欲しいと話をしました。
それらの話は細かく覚えていないかもしれない。でもその後の皆さんを見ていて、あの時伝えたかったメッセージは伝わっている、と私は感じていました。
さわやかな挨拶、礼節を感じる行動とともに、互いに個性を認め合い、様々なことにチャレンジしようとする気風が、あなたがたにはありました。授業を見に行けば、楽し気に学び合い活発に議論を交わし合う情景がありましたし、校内で行われる様々なプログラムや体験学習などへの主体的な参加状況は、様々な世界を積極的に見に行こうとする意識を感じました。
この学年からスタートしたドラマエデュケーションでは、仲間の違いを認め合い、互いの心を感じ合い表現しようとする姿勢を感じました。またみなさんの代の生徒会が積極的に動いたことで、ポロシャツの導入の実現につながり、スラックス導入の議論を前へ進めました。
合唱祭では、中学最高学年としての運営や、舞台の上の凛とした姿が印象的でした。
ひときわ大人びた歌声や表現力で自分たちのメッセージを伝え、3学年合同での合唱祭の伝統を後輩たちにつないでくれました。
このように、中1の道徳で出した課題を、みなさんはとても自然に、誠実に、楽しそうに実践していた、そんな感じがするのです。
さて、みなさんの学年から「チャレンジクラス」は3つになりました。
英語をツールとして探究する「英語チャレンジクラス」、自然科学をテーマとして探究する「科学研究チャレンジクラス」、そして人文・社会科学も含めた広い学び分野から、自分でテーマを立てて探究する「マイチャレンジクラス」。中学3年全員が何かにチャレンジをして探究活動を行う、という本校の新しい歴史が刻まれたのです。
いずれのチャレンジにも言えることですが、自分のテーマを立てる、というのは、なかなか難しいことです。自分を見つめ向き合わないと、自分の興味関心に気づくことはないし、社会を見つめ世界を知らないと、好奇心も課題も生まれない。ようやく立てた問いが広すぎたり抽象的だったり、探究のためのアプローチが見つからなかったり、既に誰かに研究されていることを知って、煮詰まったことも多々あったことでしょう。
サポートする先生方からも、皆さんが苦労する様子は聴いていました。一方で、一生懸命テーマを探し続ける姿や、面談を繰り返し試行錯誤する姿も聴いていました。
先日のYSE(ヤマワキ・サイエンス・エキスポ)では、真摯に自分のテーマに向き合い、チャレンジとアクションを起こしたプロセスが一人ひとりから伝わってきました。皆さんの探究の旅が始まり、これからも続いていくのだという大きな希望を感じました。またその様子を熱心に見学していた中1・中2の生徒たちに、バトンがつながれたことを感じました。
今年度創立120周年記念にあたり、山脇房子先生の『黄金の釘を打て』という言葉を紹介しました。私はみなさんに、いつも心に世界の平和と人々の幸せの実現を抱き、考え行動する人財となって活躍していただきたいと考えています。人財の財は財産の財と書きます。将来どこで何をするにしても、どんな仕事に携わるとしても、その実現のために魂をかけられる人になってほしいと考えています。
この3年間でみなさんはそれぞれの黄金の釘を磨いてきました。先生たちもそばで、時に寄り添い、時にとなりを歩きながらそれを支援してきました。
ここから先は、みなさんが自分で選び主体的に歩んで行く道です。先生たちは、これからは少し後ろから見守りながら、あなた方が選んでいく道を尊重し支援していきます。
学年の先生方から預かったメッセージを一言お伝えします。
「楽しい3年間でした。人として尊敬するあなたたちを誇りに思い、出会えたことに心から感謝しています」
最後に保護者の皆様、お忙しい中、本日はご来校いただきまことにありがとうございます。お嬢様の中学ご卒業に際し、心よりお祝いとお喜びを申し上げ、今日保護者の皆様とともに祝福できる喜びを、深く感じております。
3年前、真新しく少し大きめのワンピース姿で入学されたお嬢様の姿を思い起こしていらっしゃることでしょう。今、同じ制服を着こなしていらっしゃるお嬢様は、心身共に大きくご成長されました。
私ども教職員一同、大切なお嬢様をお預かりし、保護者のみなさまとともに手を携え全力を尽くしてまいりました。中学時代という思春期にあたり、お嬢様のご成長の日々にはさまざまなご心配もあったことと思いますが、いつもご理解いただき応援して下さったことが本当にありがたかったと、学年教員たちも申しております。ご信頼のもと、毎日温かく送り出してくださったことに心より御礼を申し上げます。
それでは、お一人おひとりが次のステージで、力強く歩みを進めていかれますよう願い、式辞と致します。
日々見守り続けた担任が、1人ひとりの氏名を、心を込めて読み上げます。
21日に先駆けて、イギリス研修中のF組・G組の卒業式は12日に行いました。
12日に全員で歌った「明日の空へ」をあらためて5クラスで歌いました。
桜の蕾も膨らみ始めました。春がそこまで来ています。
卒業生の皆さんの「明日の空」が、今日の晴れやかな青空と同じ色でありますように…。