山脇学園中学校・高等学校 YAMAWAKI GAKUEN JUNIOR & SENIOR HIGH SCHOOL

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2025年度 高等学校卒業式を行いました ~その2~

学園便り

卒業式では、学校長より式辞、父母の会会長・同窓会会長より祝辞が贈られました。

卒業生も保護者の方も来賓のみなさまも教職員も、6年間に思いを馳せながら、贈られる言葉に聞き入りました。

学校長式辞を紹介します。

2025年度 卒業式 式辞 

              
 草木が芽吹く季節、今日この佳き日に、ご来賓・保護者のみなさまにご臨席を賜り、山脇学園高等学校第78回卒業式を挙行できますことを大変嬉しく思います。
 卒業生のみなさん、ご卒業おめでとうございます。
 ただいま呼名をいたしました241名のお一人おひとりの凛とした表情に、本当に素敵な女性に成長された、という感慨に胸を熱くしております。

  私たちは今、みなさんと過ごした日々を思い出しています。
みなさんが山脇学園に入学されたのは2020年の春。感染症の拡大に日常の生活が一変した、人々の混乱のさなかでした。小学校の卒業式もできないまま友達や先生と別れ、期待よりも不安の方が大きい4月を迎えていたと思います。
 中学入学式はオンラインでした。真新しい制服を着て、緊張の面持ちでZoomカメラの前に座っていたみなさんの顔が本当にかわいらしく微笑ましく、早く学校に来たいだろう、新しい友だちと会いたいだろうと、私たちも切なさでいっぱいだったことを覚えています。
 初登校は6月。葉桜の下で保護者の方と写真を撮りながら、笑顔で登校されたみなさんに会えた時の喜びは忘れられません。そのあとも時差登校や動画での授業など、想像していた中学校生活とは随分違う毎日だったと思いますが、当たり前ではない日常に慣れようと、一生懸命毎日を送っていらっしゃいました。

 あの日々がもう6年前のことなのですね。みなさんにとっては遠い記憶になっているかもしれませんが、私たち教員はあの日々を、鮮明に覚えています。あなた方が寂しくないように、安心して生活が送れるように、きちんと学習を進められるように、楽しい思い出がつくれるように、教員みんなで知恵を出し合い、前に進もうとしました。様々な壁もありましたが、制限の中なんとか実施できたときのあなた方の笑顔を見ることができた喜びが、何よりの励みでした。みなさんのご家族も不安な日常を抱えながら、あなた方の毎日を支え、学校に送り出してくださいました。そんな周りの方々の思いに、今のあなた方なら思いを馳せられると思います。
 あれらの経験から私たちが学んだことは、人生には予想もしないできごと、誰のせいでもないどうにもならないことが起こり得る、ということです。そこにどう向き合うのか、多くの人々の努力や知恵を、私たちは目の当たりにしました。そして当たり前に日常を送れることがいかに幸せなことで、どれだけ多くの人の手によって支えられているのかを知りました。それらの気づきを得たことは、これから長い人生を歩む中で大きな意味があったと捉えられるのではないでしょうか。

 社会状況の影響を色濃く受けた中学の3年間でしたが、その中でもみなさんは多くの栄養を蓄え、志の種を豊かに育んでいました。高校入学後はそのパワーが一気に噴き出し、様々なフィールドでその種を芽吹かせ、枝葉を伸ばしていきました。本来の姿を取り戻した部活動や行事を先輩から大切に受け継ぎ、高2では自分たちが学校を率いるのだ、伝統をより進化させ、後輩へ渡すのだという思いを感じました。
 昨年度の山脇祭は、クラスも部活動も両立して楽しめる形をさらに充実させ、生徒にもお客様にも『虹輝燦然』の笑顔を創り出しました。また「山脇サイエンスエキスポ」も2日間の開催に進化させ、活気あふれる発表会を成功させました。
 高3での体育祭は準備の段階から、最後の行事を全力で楽しもうとする思いと、最高学年の誇りに溢れていました。当日は後輩たちを温かく応援しながらも、最後まで諦めず高みを目指す姿を後輩たちの目に焼き付けました。一人ひとりの気概がミラクルを起こし、圧巻の学年総合優勝。またこだわりぬいて練習を重ねた「ペルシャの市場&プロムナード」は、手先の表情の隅々、歩く姿まで美しく、静まり返る校庭に感動を呼びました。その姿は「煌めき」の人文字そのものだったと思います。

 最後のステージ、受験を迎える直前、学年の先生方のこんなことばが印象に残っています。「辛くて泣きながらやっていた子もいる。落ち込んでいた子もいる。でも諦めない気持ちをちゃんと持っている。苦しい時こそ互いをリスペクトしてきげんよくいこう、という気持ちを忘れていない。だからあの子たちは、大丈夫です」その言葉通り、それぞれの目標を見据え最後までやり抜いたみなさんでした。そしてまた一つ、強さ、やさしさ、知性を携え、人の喜びも痛みも感じられる人に成長されました。
 どのステージでもあなた方はいつも「思い」を持ち、分かち合っていました。仲間同士、時には先生や後輩たちに対しても、思いをことばで伝えようとしてきました。そのことばはひたむきさと優しさにあふれ、まっすぐ届き、皆の心を動かしました。だからこそ、気持ちを一つにしたステージを創り上げることができたし、お互いを拍手で称え合うシーンがたくさん生まれていたのだと思います。そして昨日も、思いをGIFTとして一生懸命に贈ってくださるみなさんの姿に、先生たちは涙していました。

 私たちは今、皆さんがこれから歩んでいく社会に思いを馳せています。この6年間にも世界の情勢は様々に揺れ動き、いくつもの悲惨な戦争は私たちの心を締め付けます。大きな自然災害もありました。そのたびにみなさんとその地にいる人々に思いを馳せ、祈り、できることを考えました。これからの社会はこれまで以上に、自分のまなざしで真実を見つめ、考え、苦しむ人々を支える行動が求められるでしょう。
 また、この数年間で突入したAI共生社会は、人類の歴史における大変動といえます。皆さんの生活や学びを加速度的に変化させていくでしょう。この変動に立ち会った私たちは、AIと共に新たな時代をつくっていくことになります。変化を恐れずに、新世界をワクワク切り拓いてください。あなた方はAIという強力な友人を得て、ご自身の考えやリアルな経験と結び合わせて、自分のやりたいことをより実現できる時代を生きるのです。
 一方で、AIを「どう使うのか」は人類の命運が突きつけられている問いと言ってもよいでしょう。一人ひとりが「どういう人間でありたいのか」を問われているのです。そこに私は山脇房子先生のことば「徳の高い人になることは、自分の心がけ次第で誰にでもできる」に希望を見出しています。
 先日みなさんとの最後の道徳で、人生をかけたテーマ「徳の高い人」になるための3つの心がけを紹介しました。「志を携えて主体的に生きる」「信頼される」「幸せを創り出す」でしたね。行動する前に、いったん立ち止まって自問してください。「これは志に根差しているか」「人からの信頼、そして自分からの信頼が得られることか」「自分にも他者にも幸せを創り出せることか」その結果、やろうと決めたことなら、AIは、あなたが何かを創り出すための最高の相棒になってくれることでしょう。
 
 みなさんは山脇学園で、たくさんの志の種を芽吹かせ多くの枝葉を茂らせました。細かった幹も、もう支えるつっかえ棒が必要のない、自立できる太さになり、たとえ少々の雨風にさらされても、折れない幹をつくりました。そして一人ひとりが精一杯に花を咲かせました。どの花も私たちの誇りです。社会で豊かな実をいっぱいにつけていかれることでしょう。
 「しるしに恥じずもろともに 努め励みて世に立たん」校歌で歌われる「もろともに」はここにいる仲間や先生方、そして社会で活躍しているたくさんの先輩たちを指します。これからも校章を心に、一緒に歩いていきましょう。母校はいつでもここに、そしてあなた方の中にあります。時に振り返り、時に顔を見せていただき、志の旅の続きを聴かせてください。

 最後になりましたが、保護者の皆様にお喜びと御礼を申し上げます。改めましてお嬢様のご卒業、まことにおめでとうございます。この晴れの日にご臨席くださり、こんなにも立派にご成長されたお嬢様のお姿に感激もひとしおのことと存じます。
 私たちも今、感無量の思いとともに、ご家族の皆様の日々に心を寄せております。思春期という心身の成長のなかで、様々なできごとや変化があったことと思います。学校から笑顔で帰ってくる日もあれば、友達と喧嘩したり、頑張ったことがうまくいかなかったりして落ち込んで帰った日もあったことでしょう。悩んでいる時には、ただ見守るしかできないこともあったかと思います。しかしどのような時もお嬢様を信じ、学園を信じて、お弁当をつくり、毎日送り出してくださいました。安心して帰る場所があることで、お嬢様方は勇気を出してチャレンジしたり、疲れた心を癒してまた次へ進んだりすることができたのだと思います。
 多くの経験を経てお嬢様は、強くしなやかにご成長されました。補助輪なしで自分の人生を漕いで行ける力を身に付けました。わからないようにそっと後ろから添えていた手も、もう離す時が来ました。一人で思い切ってペダルを踏みこんで、離れた場所から振り返った時の誇らしげな表情を見せてくれるのを楽しみにしながら、これからは少し遠くから見守っていただきたいと思います。
 教職員一同、大切なお嬢様をお預かりし、全力を尽くしてまいりました。十分にご期待に沿えなかったこともあったと存じます。それでもこうして今日を迎えることができましたのは、ひとえに保護者の皆様のご理解と温かなお支えがあったからこそ、と心より感謝を申し上げます。本当にありがとうございました。

 それでは山脇学園第78回卒業生の乙女たちの前途を祝し、これからのみなさんに幸多かれと祈り、式辞といたします。


令和8年3月7日 
山脇学園高等学校校長 西川史子