学びのねらい

国語科では、「すべての教科を学ぶための基礎力としての日本語力」とともに、現代社会で活躍する上でのベースとなる「日本語を使いこなす力」を育むことを目標に教科教育を行っています。
21世紀のグローバル社会において異なる価値観を持つ者同士で意見をやり取りするには、「論理」という共通の枠組みで考え、伝えることが必要です。また、現代の世界では、これまでの社会システムや思考の枠組みではとらえられない新たな問題が次々と生じています。こうした未知の課題に対する解決方法を生み出すためには、これまでの常識や思い込みにとらわれない新しい発想を生み出す批判的思考力が必要となります。こうした力の土台となるの が、言葉で理解し、考え、表現する国語の力です。
国語科では、本校の教育目標である「お互いに思いやり、仲間とともに創る」ために必要な「言葉の力」を育むことをめざしています。

特色(授業の進め方やカリキュラムについて)

言葉の知識や文章読解力を身につけるための従来型の「系統学習(Lecture Based Learning)」と、現代社会で活躍するために必要な思考力や主体性・協働力を身につけるための「プロジェクト型学習(Project Based Learning) 」を2 本の柱として、将来の大学進学に向けた教育を行っています。
「系統学習」では、中学 3 年間で言語運用能力の土台となる言葉の知識や、文章を論理的に読む力、自分の考えや気持ちを表現する力を育てます。高校では、高校の教科書内容の大半を高 2 修了時までに終えることで、高3 では大学入試に向けたより実戦的な学習に多くの時間を割くことができます。
「プロジェクト型学習」では、「多様化する社会の中で共生するためにはどうしたらよいか」のような唯一の正解があるわけではない問いについて考える「知の技法の時間」、グラフや資料に基づいて  仮説を立てて論証する学習活動、詩歌の創作活動などを行います。自分の考えや気持ちを表現するだけでなく、グループ内やクラスのメンバーと話し合い意見や作品を発表し合うことを通して、物事について考える力を深めるとともに、自分の意見を積極的に発言する主体性や、仲間と力を合わせて課題に取り組む力を身につけます。

中学での授業

中1・ 2 では、総合的な国語の力を育てるために、文章読解と言語技術の習得を中心に授業を行います。文章読解では、教科書の文章を中心に、物語文や説明文を読んで登場人物の心情や筆者の意見を読み取る方法を学びます。一方、言語技術の習得においては、漢字や仮名を正確に書くため書写(硬筆・毛筆)、文法といった、日本語を正しく理解し活用するための基礎を学び、「知の技法の時間」を使ってさまざまな文章から読み取った内容に基づいて、自分の思考を言語化したり、自分とは異なる意見に触れたりすることで、確かな国語力を身につけることを目的としています。

中3からは、現代文と古典に分けて授業を行います。現代文では教科書の文章だけではなく、高校教科書の文章にも通じるようなより抽象度の高い文章の読解にも取り組みます。また、学習指導要領の改訂や大学入試改革をふまえて、文章の読み取りや、複数の資料から情報を選択・整理し、目的に応じてまとめることも授業の中で行います。古典では、中2からスタートする古典文法の学習を進めるとともに、説話や随筆など中学生にも取り組みやすい古典の文章読解に取り組む一方で、これらの文章を通して、高校で本格的な古典作品を読むために必要な日本の伝統的な美意識や物事のとらえ方などについての古典常識を学びます。

高校での授業

高1では、将来の大学進学を見据えて、本格的に高校の教科書内容の学習に入ります。教科書に加えて「ロイロノート」などを活用し双方向的なやりとりを行うことで、論理的な思考力や読解力だけでなく、今後の大学入試でより重視される対話的な表現力を鍛えます。文理選択後の高2 からは、現代文・古典ともに習熟度別授業になります。学習内容の習得が不充分な生徒に対しては、基礎項目を補強するための学習時間を増やすなど、きめ細かい学習サポートを行う一方、学習が進んでいる生徒のクラスでは、難関大学の入試で出題されるような高度で専門的な文章を多読することで、難解な文章を自分の力で読み解く、より実戦的な学習の時間を増やすなど、それぞれのレベルに合った授業を行います。
高 3 では、文系の生徒全員が受講する現代文や古文の演習に加え、漢文演習や理系国公立大学志望者向けの演習などの選択科目を設けており、それぞれの志望する進路の実現に向けて、充分な量の演習授業を受講することができます。