高校1年 法政大学佐伯英子准教授による講演会を行いました
山脇の学び
令和4年2月18日(金)、高校1年生へ向けた法政大学人間環境学部准教授の佐伯英子先生による基調講演会が行われました。
テーマは「『学ぶ』と『働く』をジェンダーと持続可能性の視点から考える」です。
当初は、YAMAWAKIホールにて対面での講演会を行う予定でしたが、新型コロナウィルス感染症対策の観点から、各教室へリモートで配信をする形式となりました。



佐伯先生ご自身の来歴から、日本における女性の社会進出の現状とジェンダーに関連した事例紹介など、とても1時間強とは思えないほどの密度でご講演をいただきました。
感染症の影響もあり、学外の方と関わる機会が少なくなっている現在、大学の先生によるお話は生徒にとってよい刺激になったようです。また、実際に社会で活躍されている女性の姿を目の当たりにして、自分自身のあり方を見つめなおすキッカケにもなったのではないでしょうか。
講演後の生徒の感想より、いくつかご紹介いたします。(一部抜粋)
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◆今までわたしは国際的な世の中の動きについて関心があったため、社会学の講義を行っている教授からお話を聞けることが凄く嬉しかったです。
関心がある一方でアバウトな学問でもあるのでどのような学問なのか疑問でしたが、今回を通じて良く知ることができました。また、今まで文系の学問、理系の学問というふうに区切って見てしまいましたが良く考えると社会を動かすには理系の数学的、理論的な場面から物事を分析し文系の社会情勢などを踏まえて結論を出すということが必要だったなと気づくことができました。
大学生になったら深い学びや新しい出会いがあることは分かってはいましたが、それ以上に生き方を考えてみるなど人生において大きな場面になるのだなということがよく分かり、受験への姿勢が一層前向きになりました。今回の講演を踏まえて改めて自分の進路について探究していきたいです。
◆今回社会学や働くことについてなどについてお話しくださいました。
社会学とは当たり前を疑い、常識を歴史を踏まえてもう一度考え直しそれには根拠が必要なのだと分かりました。「机の上の学びを社会に繋げる」という言葉が個人的に今回印象に残りました。私達高校生は今たくさんの科目を勉強していますが勉強するだけでなく社会にそのままは直結しないかもしれないけれどいつかは役に立つのでは無いかなと改めて思います。また勉強という表現でなく「机の上の学び」という表現がとても素敵だなと感じました。
またジェンダーについてのお話をなさっている際に私はオリンピックについて思い出しました。
夏の東京オリンピックでトランスジェンダーの方が性別変更後の性別でオリンピックに出場したのが話題になりました。
ジェンダーについて世界に広まった機会になったのでは無いかなと思います。しかしオリンピックなどのスポーツは筋肉の問題などで男女の区別を付けなければいけないこともあります。なので全てのことで男女の差を設けないということは難しいかもしれないが少しでもジェンダーのことを理解する方が増えればいいなと思います。前現代社会で教わったように男らしさ女らしさという言葉があります。昔それは常識とされていたのかもしれませんが常識をもう一度考え直し当たり前として捉えないということで考え直してみると偏見はゼロにはならないかもしれないけれど人を悪く思う偏見はなくすべきなのでは無いかなと思います。
また働くことについて男女の差はなくならないのかなと思います。昔男性は仕事、女性は家事という役割が決まっていたけれども今は女性差別がなくなってきていて男性も家事をして女性も仕事をするという状況です。それがまだ当たり前にはなってきてないのかなと個人的には思います。またアンペイドワークという言葉があるように女性が家事育児を頑張っていても数字でもなかなか頑張りを表せないことが問題だと思います。様々な方が協力しあい女性だけ負担がかかるようなこととではなく男女平等に負担がかかるようにすることが大切だと感じました。
最後に大学についてお話していただいた際に学校は問が出されてそれについて考えを出すということだけれども大学は自分で問を見つけていくということは探究基礎のようなものだなと思います。大学では多くの学びがあるそうなので様々な大学を調べていきたいなと思いました。
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講演後は事前希望者を対象に、対面での座談会を行いました。


生徒たちは講演を聞いて感じたことや思ったことを積極的に佐伯先生に質問していました。佐伯先生もそうした生徒の質問や意見に積極的に耳を傾け意見交換をしてくださり、予定時間を大幅に超過する盛り上がりを見せていました。
座談会の生徒の感想をご紹介いたします。(一部抜粋)
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●今回の座談会を通じて、自分の小さな違和感というのを言語化して誰かに話すことで、いかに考えが鮮明になるか、そして自分が小さいと思っていたことも、元を正してみればそれは大きな問題なのかもしれない。そんなことに気づけました。
また、多様性を作り上げるより、多様性を維持する、と言うことが一番大変なのではないかと今日の座談会を受けて改めて思いました。「らしさ」を極めた存在が、排除されることで本当の多様性がなくなってしまう。多様性を作り上げるために、多様でなくなってきている社会があるように感じました。
佐伯先生がおっしゃっていた、社会学者の特徴で、「研究者自身も社会の外にいない」という言葉がすごく残っていて、どんな問題もいかに自分ごととして捉えることができるかが重要になってくると考えました。
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生徒の皆さんにはこの講演で気が付いたことを、ぜひこれからの生活の中で活かしていってほしいと思います。