2023年度 2学期始業式を行いました

2023年9月2日

9月1日(金)から2学期がスタートしました。登校する生徒たちの元気な声が、朝から校庭にも響いています。

2023年度2学期始業式

始業式は、中学・高校それぞれ講堂にて実施しました。

始業式では、学校長より2学期の行事やそこで育んでほしい「非認知スキル」について、また高校3年生に励ましのメッセージも送られました。
今回は、高校始業式での学校長式辞をご紹介します。

 

おはようございます。記録的な暑さの夏でしたね。
今朝は、みなさんの元気な表情と挨拶に、私も「行くぞー」という気持ちになっています。先生方も同じ気持ちだと思います。

さて2学期は、一年を「序破急」であらわすなら「破」すなわち一学期に築いた基礎を発展・展開する時期と言えます。そのなかで、山脇祭、体育祭という学園行事は大きな意味を持っています。
いずれも生徒自治で行われ、クラス・学年などの横のつながり(横糸)と、学年単位の先輩後輩の縦のつながり(縦糸)で紡がれる行事です。横糸は、仲間と目的やルールを「共有」すること。そこへ向かう時間を共に学び合い楽しむというつながりです。縦糸は、先輩から後輩へ「伝承」する、というつながりです。伝承とは、技術、知識、風土などを進化させながらつないでいくものです。この縦横の糸で編まれる“行事”こそ、学校という場所でしかできない価値を持つものであり、皆さんがこれからの人生という布をしっかりと織っていくことに必ず活かされる、と先生たちは考えています。
 
 社会で活躍する力というのは必ずしもテストなどの点数で測れる「学力」だけではありません。ではそれはどのような力なのか、と考えると、今社会で活躍している卒業生が一つの答えをくれるように思います。仕事や家庭など、自分のいる場所で役割を持ち、生き生きと活躍している卒業生と会うと、中学時代に行事や部活で活躍していた姿が思い出されるのです。リーダーシップを発揮していた姿、フォロワーシップを発揮していた姿、責任をもって役割を果たそうとしていた姿、意見が対立したときにも場を和ませていた姿、想いが伝わらず悩んでいた姿、うまくいかないことがあってもあきらめずにやり抜いていた姿など、当時のさまざまな姿が思い出されます。
「あの時あなたはこうだったよね」という話をすると、ご本人も必ず覚えていて「今思うとあの経験が今の自分につながっています」というのです。山脇での様々な経験が、いかに社会で活躍する力につながっているか、ということを実感します。

 人とつながり、社会の中で活躍するための様々な力を、心理学的なことばで「非認知スキル」といいます。協働力・コミュニケーション力・問題解決力・自己管理力・感受知性など様々なスキルがあり、これらの非認知スキルを学生時代に身につけることが社会での成功や幸福に重要な役割を果たすと言われています。皆さんも、学園生活のさまざまなシーンで非認知スキルを鍛え、身につけることができます。特に行事・部活・校外学習や課外の活動などの、縦と横の関係で協働力を発揮してつくりあげる経験は、皆さんの社会力を育む大きな機会であると思います。
さらに「斜め」の関係の大切さもよく言われるところです。日ごろ直接接する関係ではなく、少し離れた第三者、例えば地域の方、他校の生徒、大学関係者、企業の方などと接する機会は、新しい考えや価値観を得ることができるので、みなさんの社会性の幅を大きく広げます。山脇では「マイステージ」として推奨していますね。ご自身のチャレンジのなかで、そのような方々と出会い学びとることも意識してみてはいかがでしょうか。

 さて1学期の終業式に「俯瞰する」(Bird’s-eye view)というテーマで話をしました。2学期において、こんなふうに活かしてみたらという提案をします。
イベントが終わると、みなさんはよく反省会をしますね。反省会というネーミングなので反省を言わなければと思うのか、なんとなくネガティブな雰囲気になりがちではありませんか。一人ひとりが述べている振り返りを聴いていると、「何もできなくてすみません」とか「みんなに迷惑をかけた」などという自分のふがいなさを語る反省の弁がとても多いのですね。自分の足りないところに気づくのは大事だけれど、全部終わってから全てを反省するのでなく、もう少し早く気づけたら、と感じることがあります。
目標に向かっていくプロセスで、その時々の状況と自分を俯瞰し、課題に気づくことができたら、途中で自分の言動をよりよい方に選択したり調整したりすることができます。そうすれば終わったときに、自分が「できるようになったこと」や「貢献できたこと」にもっと目を向けることができます。できればスタートや準備の段階から「自分はこういうふうに取り組みたい」「このチームでこういう貢献をしたい」「それによってこういうふうに成長していたい」と意識できていると、パフォーマンスは必ず変わってきますし、それがチーム全体のパフォーマンスも上げていきます。

山脇祭や体育祭のスタート時に、企画委員や実行委員の皆さんの「キックオフミーティング」に参加させていただきました。キックオフミーティングとは、みんなでイベントのテーマや目標を揃える打合せです。ここで決まったことは各クラスや部に伝えられ、学園全体が同じ目標に向かって準備が進んでいることと思います。でも実際に企画運営を進めていく中で、意見や価値観が食い違ったり、みんなのイメージが異なったりして苦労したり悩んだりすることも様々あるのではないでしょうか。ぐちゃぐちゃしてきたな、と思ったら、みんなで目指そうと決めた目標に立ち返りましょう。全体を俯瞰してみて、見えてきた課題を共有することで、最適解はきっと見えてきます。
終わった後は「反省会」ではなく、なにかよいミーティング名を考えてセッティングしてみてはどうでしょうか。そこでは「こういうことは頑張ったつもりです」「今度はさらにこういう点に貢献していきたいです」というポジティブな振り返りや、互いをねぎらい、感謝を伝え合う場にするのです。そのような時間はきっと後輩へのメッセージとして伝わり、進化させた伝承につながることと思います。
高2・高1生はまず、2週間後の山脇祭を中心となって成功させてください。一人ひとりがチームに貢献する気持ちを忘れず、最大の力を発揮し、山脇生にとっても、見てくださる人にとっても、心に残る行事を「謳歌爛漫」に奏でられるよう期待しています。忙しいと思いますが、日々の学習ともしっかり両立させてくださいね。

さて、9月から新たに3名の留学生をお招きします。ドイツからの留学生は本日から、後日ベルギー、ボリビアからもいらっしゃいます。留学期間は約1年間で、いずれも高校1年生に在籍します。国やご家族と離れ、縁あって青春時代の一ページを山脇学園で過ごし、学ばれるみなさんを、全校で歓迎し、応援し、山脇での日々を楽しく充実したものにしてもらいましょう。そして私たちも、多くのものを受け取り、学ばせていただきましょう。

最後に、高3生の皆さん、高校生の夏が終わりました。残された日々を「もうこれしかない」と思うか「まだこれだけある」と思うか。私は毎年「ここから」と申し上げています。
皆さんは毎日着実に昨日より今日、今日より明日、高みに登っています。登っている時は苦しいし、足元しか見えない、でもある日、見える景色が以前よりも広がっていることに気づき、自分が登ってきた道のりを誇れる時が来ます。気負うことも、人と比べることもありません。
先日皆さんと共有したあの歌のように、「幸せと思える今日も ボロボロになれている今日も 諦めずもがいている自分」を見つめながら、思いきり打ち込めている今日を「なんて素敵な日だ」と感じられたらいいですね。受験が終わったとき、そこまで歩いてきた自分を称え、すべてを次のステージに活かすことができる日々になるよう、心から願っています。
そして最後の行事である体育祭では、6年間の集大成として「横と縦の糸」を織りあげるものにしてください。横糸はともに歩んできた友と培ってきた協働力、縦糸は、後輩たちに伝え、置いていきたい姿をしっかりとみせてくれることではないでしょうか。悔いのない素晴らしい体育祭にしてください。

残暑はまだ続きそうですが、お互いに身体と心を整えて、よいコンディションに持っていきましょう。山脇生全員が自らの設定した目標に向かい、なりたい自分に近づける2学期でありますよう願い、始業のことばと致します。

 

始業式後は、体育祭の練習や山脇祭に向けたクラス企画の話し合い等、学年でそれぞれ活動しました。

HRの後は、掃除。

2023年度2学期始業式

 

講堂横の丸窓からは、少し秋めいて見える空が広がっていました。
まだ、残暑厳しいですが、暑さに負けず笑顔あふれる2学期にしましょう!!