2022年度 3学期終業式を行いました

2023年3月22日

3月20日(月)、3学期終業式を行いました。
中学1年生と高校2年生は講堂にて、その他の学年は自教室からオンラインで式に臨みました。

 

<学校長式辞>

おはようございます。

昨年に続き記録的な早さの桜の開花が告げられました。街のそこかしこが桜色に彩られています。

本校の桜は例年、まず武家屋敷門の樹からがほころび始めます。そのあと少し遅れて花をつけ始め、4月の始業式くらいまで頑張ってくれるのが校庭の桜です。また、本校にはもう一か所桜の名所がありますね。屋外実験場の桜です。場所柄、生徒の皆さんには気づかれにくいのですが、SIのフィールドを見下ろすような大きな桜が満開になった光景は圧巻で、4号館5号館の見る場所によって異なる感動があります。春季休業中、登校した際には、是非桜巡りをしてみてください。

 

今日は「ひとりの力」というテーマでお話します。

私は朝、校門に立つのが楽しみの一つです。多くの生徒のお顔を見ることができるのがとにかく嬉しく、疲れたなと思うときでも、みなさん一人ひとりからパワーをもらえる気がします。学校生活部の先生や一緒に挨拶に立ってくださる先生や守衛の方と話をしたり、また最近では、挨拶運動や服装の“美キャンペーン”、赤い羽根やトルコ地震の募金の生徒のみなさんと一緒に校門に立ったりしたことも楽しい時間でした。

私が立っている30分ほどの時間帯で1000人以上の生徒が校門をくぐっていきます。マスクをしていても、すれ違う一瞬、それぞれのみなさんが印象を残していきます。「おはようございます!」元気よく声を出す人。にっこり笑いかけてくれる人。目を合わせて会釈をしてくれる人。友達と笑い合いながらぺこんと頭を下げる人。その人ならではの素敵な挨拶は、なんともさわやかで温かな気持を置いていってくれます。

一方で、寂しいなと思うのは、だれが立っていても素通りしていく人。ルールなどの注意を受けたとき、ぷいっと足早に通っていく人です。毎日の忙しい生活の中で、毎朝のみなさんの気分や表情が、日々異なることは理解できます。しかしその日の一人ひとりの気分が、印象やエネルギーとなって周りの人に与えるものは、決して小さくないのです。また一瞬の印象でも、その人の人間性を切り取ったものとして受け止められることを、私たちは心にとめておかなければなりません。

朝の校門は、プライベートからパブリックに切り替わる瞬間です。同じ時間帯に学年を越えた全校生徒がくぐります。その時どのような自分でありたいか。「気分に左右されず、いつも明るい挨拶で自分も周りも明るくしよう」「山脇生としてあるべき姿で、颯爽と登校しよう」という心がけは、誰でもできるのではないかと思います。

 

さて、ここでみなさんに10年後くらいの自分を想像してもらいたいと思います。みなさんは大学を卒業し、会社に就職しています。ある日、上司に呼ばれて次のようなミッションを言い渡されました。「A・B2つのチームに、あるプロジェクトを任せることにした。期限までに、より成果の見込める企画書を提出した方を採用し、採用された方にはチーム全員に賞与を与える。各チームのメンバーは5人。すでに4名が決定しており、あなたは好きな方に入ってよい」

チームメンバーを見ると、Aチームは経験豊富な先輩がいますが、Bチームは経験の浅い若手ばかりです。あなたはどちらのチームに入りたいと思いますか。

実は、どちらのチームが採用されるかは、最後の一人のあなたにかかっているといってもよいのです。あなたが「Bチームは勝ち目なさそう。Aチームは先輩が頑張ってくれそう」「Aチームは先輩から言われたことだけやればいいから楽」「採用されれば、自分も賞与がもらえてラッキー」などと思ってAチームに入りその通りに振舞えば、Aチームが採用される可能性はぐっと低くなります。

逆にあなたが「Bチーム面白そう」「自分の意見が言いやすそう」「成長のチャンスを与えられたのかも」「みんなで力を合わせれば面白い企画ができる」と考えてBチームに入り、その通りに振舞えば、Bチームが採用される可能性は高まります。

今言った状況を、わかりやすく数値化してみましょう。例えば5人のチームの場合、一人が100の力を発揮すれば5人で500になります。でも50でいいやと思っている人がチームにひとりいれば、120の力を発揮する人が2人いたとしても500にはなりません。それどころか、やる気のなさがチーム全体のポテンシャルも下げる可能性があります。一方、みんなが100の力を発揮できる環境は、その相乗効果で500が600や700になることもあり得るのです。このような現象は、今年度皆さんの様々な活動の中にもあったのではないでしょうか。「私くらいいいや」と思うか、「私が頑張ろう」と思うか、「私とみんなで頑張ろう」と思うか。「一人では何も変わらない、ではなく、一人の力は大きい、一人がチームの変革をもたらす」と私は信じています。まさに今WBCで快進撃を続ける日本チームは、選手一人ひとりがチームの中で力を尽くして貢献し、ムードを盛り上げようとすることが、どれほど全体のポテンシャルを押し上げ、成果に繋がるかを、私たちに教えてくれます。

 

多様な価値観や正解のない問いが日々投げかけられる、複雑で変化の激しいこれからの社会では、データの分析は勿論、多くの視点や考えから最適解を導き出すことがより必要になります。そのような社会において「一人ひとりが力を発揮できる“場”をつくり出せる人」が求められています。みなさんには、学校という小さな社会で、その練習をしてほしいと思います。まずはあなたがいる場所で、“自分の中にあるよいものを振りまく”ということから実行してみてください。この練習は、ご家族、クラス、部活動、ご自身が所属しているあらゆる人間関係で有効です。チームの人数が少ない程、その効果をすぐに感じることができると思います。

この一年、皆さんと「礼節」「協働力」ということについて考えてきました。これは本校の校章や校歌があらわす「まるく優しい心と、美しい富士のような豊かな人間性をもち、社会に貢献する」という教育理念につながっています。山脇生全員で、これからも様々な場面で、一緒に考え実践していきましょう。

 

3月7日は、高校3年生の卒業式でした。本日の最後に、卒業生代表の答辞の一部を皆さんに紹介します。

私達はリモート授業や学校行事の規模縮小などに加え、中止、延期と隣り合わせの高校生活を送ってきたためか、大人たちからは度々「かわいそう」と言われます。しかし、本日卒業の節目に立ち、明るい思い出でいっぱいであることに気づきました。卒業アルバムのページをめくるたび、社会情勢の向かい風に屈せず、こんなにも楽しい思い出を私達が協力して笑顔で作れたということにとても心が温まりました。山脇祭や体育祭など学校行事に加えて、日常生活でも一人ひとりがこの状況の中でどうやったら楽しく過ごせるかを考えて実現したことを誇らしく思うと先生方はおっしゃっていました。この先社会でどんなに大変なことがあっても、私たちはここでの成長を胸に、強く乗り越えていきます。後輩の皆さん、頑張っているときに失敗して、自分に自信がなくなることは誰にでも起きると思います。しかし、謙虚に失敗経験から学び、新たな挑戦をし続ければ必ずうまくいくときが来ます。そしてその過程で、絶対にご自身の可能性を過小評価しないでください。素晴らしい将来に向かって日々山脇で努力されている皆様を私達は心から応援しております。」

 

先輩たちの思いを受け継ぎ、この一年ともに過ごした仲間や先生方から学んだことを糧に、また次へ進んでいきましょう。

次年度の皆さんのさらなるご成長とご活躍を祈り、今年度終業式の言葉と致します。

 

 

終業式後は、大掃除。HRでは担任より一人ひとりに成績表が渡されます。

屋外実験場の桜も少しずつ開花し始めました。

ビオトープの周りのつくしやたんぽぽなども、春の訪れを感じさせます。

この1年はどんな時間だったでしょうか。

4月からの新学年でも、山脇学園で共にチャレンジを続けていきましょう!

2023中3卒業式