2021年度 山脇学園高等学校卒業式 Vol.1

2022年3月11日

3月8日(火)、山脇学園高等学校第74回卒業式を挙行しました。

昨年度と同様に、保護者の皆様には教室より見守っていただきました。

 

【卒業証書授与】

【学校長式辞】

今年も芽吹きの春、旅立ちの季節が巡ってまいりました。

本日第74回卒業式を挙行するにあたり、ご来賓として同窓会理事長の安達様、父母の会会長の島方様のご臨席を賜りましたことに御礼申し上げます。また保護者の皆様には、お嬢様の晴れの日にあたり学校を代表して、お祝いとお喜びを申し上げますとともに、ご来校にあたり、ご理解とご協力を賜りましたことに、心より感謝申し上げます。

 卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。

6年前、まだ幼さの残る少女だったみなさんが、今ここに素敵な女性として成長されたお一人お一人の姿を拝見し、本当にうれしく思います。素敵な女性、とは、山脇房子先生が山脇生に求めていらした、知性や教養を身につけ、人としての徳と豊かさを備えた女性の姿です。卒業にあたり、そのように勤め励みてきたみなさんを誇りに思っています。

私は、人が成長するには2つの要素があると考えています。

一つ目の要素は、「これまでとは異なるチャレンジや自分の力量を越えたことに挑んだとき」です。

どんなことが思い出されますか。山脇祭や体育祭など「行事」という機会で、責任ある仕事を請け負った経験。「部活」で真剣に打ち込んだ経験や、先輩として後輩をまとめた経験。あるいは、「発表」や「試合」などで努力や練習の成果を披露した経験。そして、このたびの「受験」もみなさんを大きく成長させた経験であったと思います。

チャレンジに真剣に取り組み、目標に向かって努力することは、楽しくもあり苦しくもあります。自分の中にある力に気づくこともあれば、時には弱さを思い知らされ葛藤することもあります。努力が報われないと感じることもあります。しかし挑んでやり切ってステージを降りるときには、その前よりも確実に強くしなやかに、また人の心が分かる優しさを身につけています。今の皆さんがそうであるように。

 もう一つの成長する機会とは、「これまで過ごしてきた環境と全く異なる環境に身を置いたとき」です。

何故なら、そのような環境に身を置いて初めて、人はこれまでの人生を振り返るからです。例えば、2年前、突然学校が休校になった時。あなた方は、それまでの穏やかで当たり前だった日常が当たり前ではなかったことに気づきました。そのとき、学校で学ぶこと、日々の授業、先生方のことばや、友との語らいなどが、これまでとは異なる意味や価値をもったことでしょう。またこれまでとは違う不自由さの中で自分がどう行動するべきかを考えたことでしょう。これらの経験は、みなさんに変化を進化に変えるしなやかさを身につけることや、日々を大切に生きること、今ある幸せに感謝することの気づきをもたらしました。

そしていま、卒業、という節目を迎え、みなさんは山脇学園での当たり前の日々に別れを告げ、これまでを振り返り、新しい環境で新たな自分と出会っていこうとしています。まさに成長の時。どうぞ今の自分をまるごと愛おしみながら、新しい世界へ一歩を踏み出してください。

人は人生を終えるまで成長し続けることができます。これからいつお会いしたとしても、より素敵な女性に成長しているみなさんでありますように。

みなさんの生きていく未来社会とは、世界の大きな変化や技術の進歩が加速度的に進む中での予想のつかない社会です。グローバル化における多様な価値観やSNSを中心にあふれかえる情報の中、答えのない問いが日々突きつけられる世の中です。そして今私たちはまさに毎日のように、地球規模の環境問題や、戦争や紛争などを目の当たりにし、自分ごととして考え、どう行動すべきか判断しなければならない数々の状況に直面しています。

このような時代や社会で、これからどのように自分の人生を歩んでいけばよいのか、不安に感じている人も少なくないのではないでしょうか。

私は、「答えは山脇での6年間の学びの中にある」と申し上げたいと思います。

思い出してください。

みなさんは、様々な教科の日々の授業を通して教養を身につけ、学ぶこと、学び続けることの価値を知りました。

情報や感情に流されず、自分の頭で考えること、自分の責任で行動することを学びました。

異なる価値観のなかで、様々な意見に耳を傾け、根拠をもって自分の意見を発信することを学びました。

何かを成し遂げるプロセスで、自分の思いが通らないこともあること、

でもさまざまな意見をすり合わせ、最適解を求め、みなで成果を創りあげる意義を学びました。

辛い時、悩んだときには、そばにいてくれる存在の温かさを知り、人の立場や思いに心を寄せることや、助けを求めている人に気づくことを学びました。

これから様々な場面で「これ、山脇で経験した」「これ、先生が言ってくれていたことだ」ということがきっとあります。困ったときには、それらが解決の糸口となることを願ってやみません。

みなさんは高校3年間のうちの2年間、感染症の不安におびえ、社会の状況に学校生活が翻弄される日々を送りました。何故自分たちが、なぜこんな時代に、と思うこともあったでしょう。楽しみにしていたことや思い描いていたことが思うようにできない悔しさやもどかしさを感じたことも、多々あったことでしょう。しかし、あなた方は悲観せず、できることを考え、精一杯やろうとしていました。そのひたむきな姿は、後輩たちに多くのものを教え、残してくれたと思います。

高3での受験勉強は、リモート授業の時期もありましたが、孤独に耐え、ご自分のペースでやるべきことを粛々と進めてこられました。その姿勢と努力を心から称えたいと思います。

できたばかりの卒業アルバムを見せて頂きました。高2からはマスク姿のみなさんの写真が殆どです。

でも、そんなあなた方の変わることのないまぶしい笑顔に、胸がいっぱいになりました。

どんなときにも皆さんには、苦楽を共にできる仲間、友達がいて、支え合うことができていたのだと改めて思いました。山脇の友は一生ものです。いつも会えば本音で話せ、思いを分かち合え、笑い合える友達を、ずっと大切にしてください。

何事にも真剣、そして感受性と表現力の豊かな学年でした。私にとっては、中学3年生の合唱祭の、全てのクラスが伝えたい思いを表現しきったハーモニー。そして高校3年生の体育祭での圧巻のペルシャ。練習が十分にできない中、校庭が静まり返って皆が見つめた一瞬一瞬。私のとなりで涙していた先生の姿。まさに「栞」のように、多くの人の記憶に挟み込まれるシーンでした。

今日、先生たちは、あなた方と過ごした日々に思いを馳せています。6年間で関わった時間や場面は違えど、皆さんのかけがえのない青春時代の1ページに存在し、成長に関われたことを幸せに思い、皆さんの旅立ちを心から祝っています。

一緒に歩いてきた6年間の道には、でこぼこ道や分かれ道もありましたね。入学して、まだ歩く方向も地図の見方もわからなかったみなさんに、先生たちは、隣に寄り添い、ルールを教え方向を指し示し、障害物があれば一緒にどかせてくれる存在、でも時には口うるさく感じる存在だったかもしれません。

また高校時代の先生たちは、中学の時よりも少し後ろに下がったところを歩きながら、あなたたちの歩みを見守り、必要な時には声をかけ、背中を押してくれたことでしょう。

でも、先生たちと歩く道のりはここまでです。一人で、自分の足で自分の道を歩いて行くあなた方の後姿を私たちはここで見送ります。もうそれができると信じています。大丈夫。あなたの「志」という北極星を道しるべに歩いて行けば、必ず道は拓けます。

一度きりの人生の道ですから、楽しく歩いてください。どんなときも人に感謝し、出会いを大切にして、一生懸命に歩みを進めていれば、あなたを応援してくれる人が必ずいます。荷物が重くなった時には分け合ってくれる、そんな仲間と一緒に歩けば、また違う景色が見えてきます。

山脇の校章、ハートに富士。「まるく優しい心の中に、いつも凛として品格ある姿をたたえた富士の姿」

山脇生の理想の姿を描いたこの校章は、どんなときもみなさんの生き方を照らし、あるべき自分の姿を教えてくれます。これからもいつも心の中に、つけ続けてください。

そして、時には「しるしに恥じずもろともに つとめはげみて世に立たん」と歌われる校歌を口ずさみながら、世のため人のためにご自身を活かすことの幸せを感じられる人生を歩んでいただきたいと願っています。

最後に保護者の皆様に一言申し上げます。

6年前、真新しく少し大きめのワンピース姿で入学されたお嬢様を、毎朝心配しながら送り出されたことでしょう。そしていま、同じ制服を、こんなにも凛と美しく着こなしている姿をご覧になり、さぞまぶしく、感慨もひとしおのことと思います。

私ども教職員一同、大切なお嬢様をお預かりし、全力を尽くしてまいりました。中高時代という、心身の成長著しいさなか、お嬢様の日々の「行ってきます」や「ただいま」の表情は、きっとさまざまなものがあったことと思います。どのようなときもお嬢様を見守り、支えながら、本学園の教育をご信頼いただき、ご支援くださいましたことに心より感謝申し上げます。

お嬢様がこれからも志に向かって歩みを進め、心豊かで幸せな人生を送られますことを、私どもも保護者の皆様と共に応援し続けてまいります。

 ではみなさん、どうぞお元気で。

お一人お一人の前途に幸多かれと心から祈り、式辞といたします。 

山脇学園高等学校 校長 西川史子

 

【式の様子】

厳粛な中にも温かい雰囲気に包まれた卒業式が続きます。

Vol.2では、送辞や答辞を紹介いたします。