SI探究特別企画 屋外実験場だより~稲作り~Vol.2

2021年6月21日

最近の活動について、ご報告します。どうやら予定通りに上手くいかなかった事もあるようで、理論と実践の差から様々な思考が始まっているようです。難しくも面白い作物の栽培を通して、「こういうこと?」「こうしたらよいのでは?」と、物事を見る眼・突き詰める姿を楽しみながら養ってほしいと考えています。

コロナ禍だからでしょうか、このような活動ができる喜びが、キラキラとマスク越しにも伝わってきます。また、来週に向けてもう一度仕掛けをしなおしたようです。「来週はきっとこうなるはず!」と予測した結果に逢いたいと思う事がなによりも大切です。浪漫です。

 

<<生徒より>>

今日は、塩水選で浮いたものと沈んだ物を次の3つの段階に分け、
断面を切ってヨウ素液に浸し、どうなるかを試した。

2021SI稲育米
1週間後の結果

①種子から芽が完全に出ている
②種子から根のみ出ている
③まだ発芽していない

ヨウ素液に浸した結果として、
浮いたほうも沈んだほうも①・②は一部染まらなかったが、
③は完全に染まり、色の差異は無かった。

2021SI稲育米
先週の結果

この結果を見て私が考察した事は、
デンプンの量はほぼ同じということである。

しかし、それならどうして塩水処理する必要があるのだろうか。

考えられる理由は2つある。

(1)そもそも今回の実験がうまくいっていない
(2)他に原因がある

今回は下準備をあまりしっかりとしてきていないので、
(1)の可能性が高いが、(2)の可能性がないと思い切れないので、
もしできたら今後も調べてみたいと思っている。

2021SI稲育米
結果を受けて、試行錯誤

私は違う部活に所属をしているが、今回の企画に参加して、SI部はこのような事を毎年やっていたのかと思うととても羨ましくなった。同じ学校にいたのに知らなかったのだと思うと大変悲しい思いをする。

また、次回やってみたい事は、世界にはたくさんの米があるが、日本人の多くが食べているのはジャポニカ米である。しかし世界で多く食べられているのはタイ米である。この2つの米について、色々と実験をしてみたい。しかし先生が許諾してくれるか分からないので、月曜日にでも聞きに行こうかなと思っている(おそらく却下される可能性が高いが…)。あとタイ米を植え、違いを確認してみたかった。それは今年度ちゃんとやった上で来年やってみようと思う。

2021SI稲育米
皆さんの様子
2021SI稲育米
来週に向けて再試行

 

<<他の参加者の声>>

“観察をする時には自分が思っていた以上に色々な実験をして得られることがある。沈んだ方も浮いた方も結果があまり変わらなかったので、もう一度同じことを試し、結果がどうなるか楽しみである。ヨウ素液を垂らすと一瞬で沈んだ方も浮いた方も真っ紫になったのでやはりお米だなと思った。”

“今回は、前回から成長した根や芽が出た種の観察と、その種を土に入れる作業をしてみて、稲のことをさらに深く学べました。普段から食べているお米はこんなに大切に育てられているのだと、1つ1つの作業をしていると実感します。この企画を通してお米の価値観が変わりそうだなと思いました。来週はどんなふうに稲が育っているのか楽しみです。”

“今回の活動では、前回(先週)から水につけて置いた種を顕微鏡で観察しました。私は前回行った塩水選で「沈んだもの」と「浮いたもの」とで育ちに差が出たのか、一粒一粒数えました。塩水選の際、「沈んだもの」は種の中に栄養が詰まっているということになり、「浮いたもの」は種の中に栄養が詰まっていないはずです。

いざ、①根と芽が出ているもの、②根だけが出ているもの、③何も出ていないものを分けて数を数えてみると、「浮いたもの」の方が「沈んだもの」に比べて発芽している種が多かったのです。とても驚きました。思っていた結果と違いました。ここが実験の面白いところだと思います。そして「面白い」だけで終わらず「どうしてこのような結果になったのだろう」と次に繋げたいと思います。

さらに水に浮いたものと沈んだものをヨウ素液につけて比較しましたが、ほとんど違いがありませんでした。「浮いてしまったもの」の根が伸び、沈んだ方より成長していた。条件が悪かったのかもしれないので、もう一度やってみたいと思います。稲をセルトレイに一つ一つ植えるのが意外と難しかったです。”

“今回の実験では、一週間前に塩水選と湯温処理を行った種籾の成長を観察した。その後、屋外実験場にある土壌を利用してセルトレイに植えた。芽を出した稲(皮付き)を真っ二つに割ってヨウ素液を付けると、断面が真っ黒になっていて驚いた。この結果から、稲一粒の中にたくさんのデンプンが備わっていたということが分かった。また、その稲は皮の大きさに対して中身が少なかった。稲の中身が芽を出すための栄養として消費されたと実感した。今回の観察から、私たち日本人が普段食べている米には一粒一粒、たくさんの栄養が詰まっていることが感じられ、お米にとても感謝したくなった。”

“今回は発芽した種を観察したり、さらに成長させるために土に植え替えたり、来週再度比較できるようにするために同じようにして種を準備したりと大忙しの活動だった。発芽した種は、実体顕微鏡を使いヨウ素液を垂らしてデンプンの反応を見た。一瞬で紫色に変化して薬品って凄いと思った。ちょうど高校の生物基礎の授業で実体顕微鏡を使ったので、後輩にも使い方を教えることができた。学んだ事を活かせる場面があり嬉しかった。前回後輩に頼りっぱなしだったことを反省し、土に植える作業の時も、率先して行動するよう心掛けた。チームメイト同士の仲も少しずつ深めることができ、今日は有意義な時間になった。”

“稲は色々な条件によって予想外の結果になってしまうので、しっかりと実験条件を揃えて慎重に実施するべきだったと思いました。少しのことでも植物に大きな変化を与えてしまうことがわかりました。”

 

SI探究特別企画 屋外実験場だより~稲作り~Vol.1