夢の実現化に努力する山脇生へのメッセージ~藤原さん講演会報告

2018年11月19日

10月6日(土)国立研究開発法人産業技術総合研究所 生物プロセス研究部門 主任研究員の藤原すみれさんの講演会が開催されました。

2018山脇講演

 

本企画は、科学研究チャレンジプログラムでご指導いただいている琉球大学の渡辺信先生からご紹介いただき実現しました。渡辺先生を通して交流のある都立科学技術高校や都立立川高校の生徒のみなさんや先生方と共に、本校生徒達も真剣に講演を聴きました。

 

藤原さんは筑波大学卒業後、同大学大学院で植物の体内時計について研究を進める中で、予想外の結果が出たときの驚き、自分が第一発見者となれる喜びなど多くのことを味わい、研究者としての路を決意されました。また、異なる文化の中で研究を行いたいとの想いと、自身の理想とされる研究の方向性が重なり、博士号取得後、米国オハイオ州立大学の研究室へ2年半博士研究員として留学されました。その研究成果は、学術誌にトップオ-サ-として掲載されました。帰国後は、理化学研究所植物科学研究センタ-の特別研究員および基礎科学特別研究員を経て、2010年に産業技術総合研究所に勤務された直後には、文科省の大型資金である最先端次世代開発支援プログラムにも採択されています。現在は「ス-パ-植物で世界を救う」の目標を掲げて、基礎と応用の両面で植物の研究を深化発展されています。

今回の講演は、生徒達にとって植物の専門的な内容が社会問題にどう関わって世界の救済に結びつくのか、多角的多面的思考に触れる絶好の機会となりました。そして更に「真に活躍することとは何か」との問いに、お答えくださった藤原さんの5つの事柄は、生徒達の心に一つ一つ小さいながらも力強く響きました。

2018山脇講演
琉球大学渡辺信先生のお話

 

藤原さんがどのような志を持って歩んでこられたかを伺い、生徒達は今の自分に重ね合わせ、どのような将来を思い描いたのでしょうか。いくつか生徒達の書いた「感想や疑問に思ったこと」をご紹介いたします。

 

◆私は藤原すみれ先生の好きなこと、もっと知りたいことについて、一心に取り組む姿勢はとても素晴らしいと思いました。(中略)私も一途になれるほど好きなものを見つけ、何があってもあきらめずに取組みたいです。また、すぐに好きなことをみつけるのではなく、学生のときにしかできない経験をたくさんし、ゆっくりと見つけたいと思いました、藤原すみれ先生の話を聞いて、好きなことをやっていても大変なことは必ずあるのだとわかり、たくさんのことを経験してみようと思いました。(中1)

 

◆(前略)今回のお話で、疑問に思ったことは放っておいてはいけない!と思いました。藤原さんの研究内容を聴いていると自分が興味を持ったことを研究したりその研究の結果をたくさんの人と共有したりするのはどんなに楽しいことなのだろうと思いました。どのくらい楽しいのかどんな気持ちなのかは、私はまだ分かりませんが自分のやりたいことに進み続け、将来その気持ちを理解できるようなことをしたいと思いました。まずは興味を持ったことだけでなく、何でもやってみてたくさんの経験と行動力を身に付けたいと思いました。(中2)

 

◆(前略)特に「チャンスをつかむために努力と準備をする」という言葉が心に残りました。努力に見合った結果を出せるようにしたいと考えました。また藤原さんは自分が知りたいと思ったことを研究し結果を出すだけでなく、それを用いて起きている問題を解決できていることがすばらしいと思いました。私も社会問題の解決に貢献できる人になりたいため尊敬します。私は今、科学研究チャレンジプログラムでマングローブの耐塩性の研究を行っています。研究をするうえで大切にしていることを質問させて頂きましたが、答えて頂いた「おもしろいと思うこと」「調べること」「ごまかさないこと」を活かしていきたいです。自分の疑問を解決することで、今私たちに与えられている研究できるチャンスを無駄にしないようにしたいと思いました。今のうちから自分にできることを行い、悔いのないようにしたいと考えました。(中3)

 

◆(前略)私は、現在研究者になりたいと考えているのですが、高校生になって「どうしたら自分の進みたい分野の研究ができるか」ということを考えるようになりました。今回先生のお話を聞いて、少し道が開けたような気がします。先生の実験は先生本人も楽しく、世の中のためになる、そんな研究だと感じました。私も将来、そう思える研究がしたいです。最近話題となっている「ノックアウト」や「ゲノム編集」「遺伝子組み換え」などについても、より詳しく理解することができました。自分も夢に向かって世界に視野を広げ、自分のできることはなんでもやって行こうと思います。そして将来のためにも勉強をしっかりしていこうと思います。(特に)英語が苦手なので「自分の将来のためだー」と思って頑張ろうと思います。(高1)

 

◆(前略)今回の話で一番興味を持ったのは、ゲノム編集を使って耐性などのいろいろな性質を持った植物を作りだす研究についてです。将来人口増加により食糧不足が不安視されているという記事を見たことがあります。植物の葉を増やすことや、温暖化に障害を受けない品種などはその問題を解決する手段のひとつになるのだろうなと思いとても面白かったです。一方、お話を聞く中で気になったこといくつかありました。一つは遺伝子組み換え技術やゲノム編集に対して特に危険であるという認識が一般的にあります。それらの技術の安全性もしくは危険性についてです。もう一つは、ノーベル生理医学賞で基礎研究について、ニュースで取り上げられていましたが、日本では基礎研究がおろそかにされていると言われていますが、それについてどのように感じていらっしゃるのかということです。(後略)(高2)

 

【講演中の生徒のメモ】

 

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生徒のメモ