特別実験講座「菌核を探せ!」を実施しました

2018年12月5日

11月17日(土)に特別実験講座「菌核を探せ!」を行い、中学1年生から3年生までの希望者34名が参加しました。当日は、首都大学東京の渡邊眞紀子先生、茨城大学の成澤才彦先生、坂上伸生先生がご指導してくださいました。

2018菌核を探せ
菌核とは

2018菌核を探せ

今回は、山形県鳥海山の森林土壌を持って来てくださいました。いよいよ菌核探しです。白い紙の上に薬さじで土壌をすくい取り、広げてピンセットや指先で探します。土には朽ちた落ち葉が混ざり、時には小さな土壌生物が出てきます。しっとりした黒い土の匂いを感じながら、皆菌核探しに夢中です。

2018菌核を探せ
菌核探し

2018菌核を探せ

しばらくするとシャーレには大小の菌核が集まりました。先生方は、様々な機器を持って来てくださり、見つかった菌核の数や重さ、大きさの測定に入りました。みなさんは、大きさはどの位だと思われますか?
直径は、1㎜台がほとんどでしたが中には4㎜台の大物もありました。今回の重さは、0.7㎎~27.0㎎と様々です。とっても小さなものだと分かりますね。ですから見つかったときの喜びはひとしおです。次は、これらの菌核がどの位の耐久性があるのか破壊実験で確かめました。渡邊先生ご自身が作られた実験装置を使って、どれだけの水の重さに耐えられるのか真剣に測定します。菌核は指で押した位ではつぶれません。破壊されたときはパチッと音がします。今回は最高で756gで粉々になりました。ずいぶん強度があるのが分かります。

2018菌核を探せ
破壊実験

最後は、成澤先生が菌核を含めた微生物のはたらき、他の生物との関係について興味深い話をしてくださいました。

2018菌核を探せ

2018菌核を探せ
成澤才彦先生のお話

植物と共生し、植物に利益をもたらす役割を持つ微生物の棲みかである菌核を、自分の目や手を使って探し出し、様々な測定を行うことによって、森林内での目に見えない自然の営みの一端に触れることができた一日となりました。
先生方、TAのみなさま、ご指導ありがとうございました。

 

後日出された生徒のレポートの一部をご紹介します。

【参加して気づいたこと】
◆私は今まで、菌と言えば私たちの暮らしに害を与える生命体だと思っていました。でも、今回の講座で教授の話を聞いて、菌の中には、私たちの生命体のバランスを保たせる、助ける働きをするものもある、ということに気が付きました。そしてもっとこのような生命体のことを知りたいなと思いました。(中学1年)

◆参加して気づいたことは、菌の中にも良いものがいて「菌=汚い・危ない」というようなイメージを持ってはいけない、ということでした。また、植物自体が、菌がたくさんいるようなところに育つのかもしれない、ということです。植物の生長を助けてくれる共生菌だから、植物は少しでも助けてほしいだろうと思ったからです。(中学1年)

◆菌核を肉眼見ると丸い形に見えるが、顕微鏡を使って見ると全く違う形のものに見えました。たとえ同じものでも、見る位置、見方が変わると、見えるものが大きく変わるものだと思いました。私は見つけた菌核で重さと大きさしか見ようとせず、プリントに書いてあることしかできませんでした。菌核を見つけることに焦点を置きすぎてしまい、自分で考えることをやめてしまったため、せっかくの時間を十分に使えませんでした。
実体顕微鏡で観た菌核のスケッチをしていて気になったのは、菌核から生えている毛のようなものです。(中略)ですが細く、ピンセットで引っぱったりするには小さすぎるので、やることができませんでした。(中学3年)

◆菌核を探すときに用いた森の土は、身近な土と全く違うものだと感じた。大きく分けて3つ違った。1つは、水分である。菌核を探すとき、手で枯葉を押さえたら手が汚れた。また、なんとなく冷たく感じた。そのため、森の土は、水分を多く含んでいると思った。2つ目は、土の粒の大きさである。固まっていたものもあるが、ピンセットで潰すと細かく砕けた。3つ目は枯葉が分解されかけていたことだ。2つ目と3つ目からは菌類などの微生物がたくさんいて、分解されていると考えた。また、これらを踏まえて、森の土はふわふわしていた。
土から採った3つの菌核をスケッチしたところ、それぞれ菌核の状態が異なっていた。1番大きい菌核の周りには白い毛も混ざっていた。また、枯葉も混ざっていた。これは菌核を大きくしていった時に一緒に周りのものがくっついたと考えられる。中くらいの菌核は一部かけているところがあった。自分の中の考えは2つあり、1つは、その欠けたところに根があったという考えである。2つ目は何かの衝撃で欠けてしまったという考えである。一番小さい菌核は黒色の中にうす茶色の部分があった。これは成長する時に、一緒に土がくっついたと考えられる。これらを踏まえて菌核は、同じものが2つあることは無いと知った。(後略)(中学3年)

 

【感想】
◆今回の講座を受けて、私たちの身の回りにあるものや考えてもいなかったものが、私たち、生命体を支えていることに気付かされました。そして一つのものから多くの生態系へとつながっていくことも知りました。この講座で多くのことを学べて良かったなと思いました。(中学1年)

◆私は、この体験を通してもっと理科が好きになりました。わからないこと、知らないことの方が多い理科の世界をもっと見てみたいと思いました。(中略)この体験に参加して本当に良かったです!(中学1年)

◆(前略)1つ1つの菌核を見つめている内に、愛着がわいてくるほどでした。家に帰ってからも、菌核を見つめたり数えたりしながら菌核についてネットで調べました。しかし出てくるのは全て「菌核病?」とかいう植物の病気のことでした。菌核は生態系には欠かせない大切な役割を持っているのに、と私は思いました。(中略:過去の山脇で行われた「菌核を探せ」のHPを見つけ、その中の一文に触れ・・・)それは「最初、子供たちはピンセットで土の中の菌核を探していましたが、しばらくする内に、手を真っ黒にしながらやっている子がでてきました」みたいなことが書いてありました。それを読んで、私は「あ!私だ」と思いました。やはり、自然にはほとんどの子が興味を持ち、のめりこむものなんだ、と改めて感じることができました。小さい子も外に出て興味を持つものは、アリ、空、雲、など自然のものだと思います。そんな自然に私たちは助けられながら生きています。太陽だってなければ地球に生命は存在していられないし、植物がなかったら私たちは生きていられません。だからこそ私たちは自然に感謝し、自然を守っていくべきだと思います。今回の講座を受けて、自然の大切さを再確認でき、新たに自然のことを知ることができました。(中学3年)